JALの再建プランを機能させるために

2010.01.12発行 Vol.118
明けましておめでとうございます。今年最初のメルマガです。

JALの問題については、このメルマガや本、さらには連載している日経BPネットでも何度か取り上げました。また、BS11の番組で新党日本の田中康夫代表とも議論しました。

私の以前からのスタンスは、民事再生法や会社更生法による法的整理をするべきだという意見でしたが、その方針で進んでいることは望ましいことです。ただし、問題がないわけではありません。

私が、法的整理を望んだ理由は二つです。ひとつは、そのほうが私的整理よりも透明性が高いこと。債権者のみならず、株主などの責任が明確になることです。公的資金(=国民のお金)を投入するのですから当然でしょう。BPネットでも指摘した通り(http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091119/196368/)、JALの法的整理を銀行団が渋っていた大きな理由の一つは、大手銀行が関係するバーゼル銀行監督委員会の銀行に対する自己資本比率規制の問題と日本政策投資銀行の問題が大きいと考えられ、公的資金が銀行救済につながると考えたからです。

もう一つ法的整理のほうが望ましいと私が考えた理由は、法的整理のほうが債権放棄などの範囲が広く、JALの再生に好ましいと考えたからです。

そして、この2点は双方に関連していることです。法的整理でできるだけ多くの債権を放棄してもらい、株主の権利も制限したほうがJALの再生が早いのは言うまでもありません。

しかし、現在報道されている債権放棄の内容などを見ると、その内容が十分かどうかは分からない部分があります。というのは、昨年9月末で銀行からの借入金が短期で約2千億円、長期で約5千7百億円あります。合計で7千7百億円です。このうち3千5百億円の放棄を要請しているということです。通常の更生法適用の場合よりは割引率はかなり小さいと言えます。また、燃料代などの債務に関してはカットを行わず、公的資金がカバーすることとなりますが、その分、JALの負担が減らないということになります。さらにその分、国民負担が増加するわけです。いずれにしても銀行が得をして、JALや国民が損をするという構図となります。

さらに、銀行の債権放棄分は「デット・エクイティ・スワップ」というやり方で、債務と資本を振り替えるということも検討されているようで、銀行の債権放棄分は株式となる可能性があります。これは、減資で現在の株主の責任を問うということと公平性を欠く可能性があります。

JALの問題が浮上した当初は、新旧分離方式で、「悪いJAL」と「良いJAL」に分離し、悪いJALを法的に整理し、良いJALに公的資金を注入するという案が考えられましたが、私は今でもこの案に賛成です。法的整理し公的資金を注入するなら、中途半端なやり方をやらずに、JALの再生のためにベストの方法を考えるべきでしょう。もちろん、国民負担のリスクを極力回避することはいうまでもありません。