GoodはGreatの敵である

2010.01.26発行 Vol.119
この言葉は私の好きな言葉の一つです。『ビジョナリーカンパニー2』(ジェームズ・C・コリンズ著)の冒頭に出てくる言葉ですが、私も講演や本などでよく引用させていただいています。そこそこ良い状態であると、そのことに満足して向上心がなくなり、せっかくGreatになることができるチャンスがあるにもかかわらず、Goodな状態で終わってしまうということです。このGoodとGreatの差が一人前と一流の差ではないかなという気がしています。

私は「一人前と一流は違う」という言い方もしますが、よく似た趣旨です。一人前というのは厳しい言い方をするようですが、二流です。食べるにはそこそこ困らないけれども、人からはすごいとは認められない状態です。もちろん、これは価値観の問題ですから、別に一流やGreatにならなくてもよいと考えるのも私は否定しません。

しかし、私は自己実現とは「なれる最高の自分になること」だと考えています。なれる最高の自分になろうとしないことは、本人にとってももったいないことですが、属する組織や社会全体にとってももったいないことだと思います。

自己実現するためには何をしなければならないかというと、私は、二つあると考えています。

ひとつは、とにかく目の前にあることに一生懸命になる習慣を持つことです。ビジネスマンなら目の前の仕事にとにかく精一杯取り組むこと。そして、まだやれることがあると考えて、さらに徹底することです。中途半端なことをやっていては、実力は上がりません。全力を尽くしていれば実力は少しずつですが必ず上がっていきます。

もうひとつは、目標を持つこと。短期的な目標でもよいから、目標を持って、そのために、上で述べたオンザジョブで全力を尽くすとともに、オフでも自分の将来のために本質の勉強を少しずつでも積み重ねていくことが大切です。

目標を持たないと、毎日が全力でもなれる最高の自分になれるかどうかは分かりません。「散歩のついでに富士山に登った人はいない」のです。必死に散歩しているだけでは、富士山には登れないのです。どうせ努力するなら方向を間違わないことです。そのためには目標を持つことが大切です。私は月間目標を毎月立てることを薦めています。そして、その目標の先に「目的」、つまり自分の存在意義が見つけ出せれば最高です。

日本の現状を考えた場合、長い間Goodに甘んじているのではないでしょうか。それは、この国を構成する企業や組織も同じですし、多くの個人もGoodに甘んじています。そして、Goodに甘んじていれば、そのGoodでさえいられなくなるかもしれません。私たちの子供たちのためにも、Goodであるがゆえになくしかけている、私たちの先人が持っていた必死さをときには取り戻すとともに、目的や目標を折にふれ考え直すことが、国家的にも会社のレベルでも、そしてもちろん個人的にも必要だと感じています。