2015年に本物の経済政策が出るかに注目

2014.12.24発行 Vol.237
 今年もあと1週間となりました。今年のメルマガも本号で最終回です。今回は今年の日本経済の状況を振り返りたいと思います。

 この1年で日本経済のもっとも大きな出来事は、4月に消費税率が3%引き上げられ、8%となったことと、そのことが日本経済に及ぼす影響を見誤ったことでしょう。当初、政府は消費税率引き上げの影響は「軽微」と考えていましたが、結果的には、4-6月、7-9月の実質国内総生産は連続でマイナスとなりました。四半期の国内総生産の成長率は「前四半期比」での計算となりますから、4-6で落ち込んだうえに、さらに7-9月でも落ち込んだということで、「軽微」と見た消費税率上げの影響は結構「深刻」だったと言えます。4-6月が底だとみられた落ち込みが、夏場の集中豪雨等の影響もあり、7-9月も落ち込んだのです。

 そのせいもあり、安倍首相は来年10月に予定されていた2度目の消費税率引き上げの延期を決めました。私もこの経済状況では、2度目の消費税率上げには反対でしたが、首相がしたたかだったのは、それを逆手にとって「信を問う」として衆院を解散したことです。4月の消費税率上げで景気を失速させ、国民に迷惑をかけたことを理由に、皮肉にも政権基盤を強化したという結果になりました。

 一方、株価や円相場に大きな影響を与えたのは10月末に発表された日銀による2度目の「異次元緩和」です。それまで年50兆円から60兆円の国債を市中から日銀が買い入れることで、資金の供給を行ってきたのを、年額80兆円にまで引き上げるというものです。株価や円相場は大きく反応し、それまで1万5千円強だった日経平均は一気に跳ね上がり、それまでじりじりと円安傾向だったのが、120円のレベルにまで達しました。

 金融緩和は、金融に詳しくない方には分かりにくいのですが、一時的には株高、円安になったものの、大きなリスクが潜んでいることを忘れてはなりません。円安にともなう副作用もそうですが、日銀が国債をかつてないほどに所有し資金を供給するということの不安定さもあります。また、これで当面この政策の「出口」が見えなくなったこともあります。所詮、金融政策はカンフル剤です。この政策を決めた日銀の政策決定会合では、総裁、副総裁を含めた9人のうち4人が反対したというのが、この政策のもつリスクを物語っています。また、衆院選期間中に、日本国債の格付けが1段階下がり、上から5番目となったことも、日本の信用が、徐々に低下しているということを物語っています。

 結局、必要なことは、いうまでもなく経済の足腰を強くすることです。具体的には、頑張っている企業を伸ばすことですが、そのためには、思い切った法人税率の引き下げ、規制で守られている「利権」の打破、さらには、宇宙・航空や精密、自動車、アニメなど他国との競争に勝てる分野への資源の再配分などです。私はこの10-12月から景気は反転するとみており、そうであれば来年は、政権は集団的自衛権などの「政治」に神経を集中すると思いますが、私たち経済人としては、「本物の」成長戦略が出るかどうかに注目したいところです。そうしないと、カンフル剤が切れたときの深刻な副作用に悩むことにもなりかねません。