2011年は春先から景気回復に向かうが、中長期的には厳しい日本経済

2010.12.28発行 Vol.141
 今年最後のメルマガとなりました。今年も多くのことがありましたが、皆さんはいかがだったでしょうか。私も今年もさまざまなことを体験、勉強させていただきました。多くの場所にも出かけ、海外ではグアム、ベトナム、中国(上海万博)、デンマーク+チェコに行き、国内も多くのところに出かけ、例年通り移動の多い年でした。このメルマガも名古屋からの帰りのぞみの中で書いています。

  さて、2011年の日本経済の私の展望を述べますと、2010年10―12月期がマイナス成長となり、2011年1―3月期もその続きでそれほどパッとしない時期が続きますが、春先からは米国経済の復調にともなって日本経済も回復軌道になるのではないかと思っています。

  主な根拠は、米国の個人所得がここ半年ほどは過去最高水準となっていることです。年換算で12兆7千億ドルを超えています。米国の企業収益が1兆6千億ドルとこちらは過去最高に近づいています。ただし、米国GDPの約7割を支える個人消費は絶好調とはまだ言えず、とくに、自動車や住宅といった耐久消費財市場は冷え込んだままです。

  耐久消費財が伸びないのは、失業率が10%近くと雇用不安が大きいことがかなり影響しています。雇用の先行きが不安で、通常の経済状況なら2%前後の貯蓄率が5%台にまで上がっています。つまり、全体的にはお金は稼いではいるが、将来不安が大きいために貯蓄に回しているというのが現状の米国経済の構図です。

  日本でも米国でも景気回復のはじめは「ジョブレス・リカバリー(雇用なき回復)」となりがちですが、今はちょうどその時期だと私は思っています。

  企業業績がもう一段回復すれば、雇用が良い方向に向かい、個人消費に力強さが出てくるのではないかと思います。もちろん、欧州諸国の財政リスクが小さくなく、それが大きくクローズアップされる際にはこのシナリオが崩れる可能性がありますが、世界のGDPの約4分の1を支える米国経済が回復軌道に乗れば、日本経済も回復しやすくなるでしょう。

  短期的には、私はかなり楽観視して日本経済を見ていますが、中長期的には違います。長い間成長は止まったままです。現状の名目GDPは1994年前後の水準です。まさに「失われた20年」です。その成長を支えているのも政府最終支出による部分がどんどん大きくなり、そのため財政赤字がますます拡大し、対名目GDP比では先進国中最悪の状況です。少子高齢化も進む中で成長のエンジンを見いだせない状況が続いています。(詳しくは、拙著『日本経済このままでは預金封鎖になってしまう』(ディスカヴァー21)をお読みいただければと思います。)

  こうした中、政権も安定しません。ばらまきをしても支持率は落ちる一方です。安定した政権を望みたいところですが、強力なリーダーシップが必要なことは企業経営も同じですね。

  来年もよろしくお願いいたします。