10年後の日本経済

2014.01.14発行 Vol.214
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 当社では、土曜日に年20回の講習を行う「コンサルタント養成講座」を開催していますが、先週末に今年の現役生とこれまでの卒業生とを交えた合同セッションを行いました。「10年後の日本経済」について考えることを事前課題として差し上げており、それを当日グループディスカッションして発表してもらいました。

 事前課題だったので、各人が結構考えてきたこともあり、発表内容は各グループともになかなかの内容でした。具体的数値に踏み込んだチームも多く、現状480兆円程度の名目GDPが、生産年齢人口の減少により420兆円程度となることや、現状25%の高齢化率が30%にまで上昇するといった報告もありました。一人あたりのGDPはそれほど変わらず、ただ、財政赤字や税負担がますます増えるといった指摘もありました。ある程度豊かだが、成熟からやや衰退に向かうといったところでしょうか。

 私が、その場でコメントしたことがいくつかありました。ひとつは「相対的ポジショニング」を考えないといけないということです。企業経営においても、ライバルとの相対的なポジショニングがとても大切です。ライバルがシェアも多くとても強力なのか、それとも自社のほうがお客さまから見て優位な状況にあるのかということです。あるいは、独自の商品やサービスを持ち、ニッチながらも確固とした基盤を持っているのかということです。

 先ほどの指摘のように、10年後にはGDPが420兆円となるということを楽観視していてはいけません。もちろん、楽観視できる状態ではないのですが、一人あたりのGDPがそれほど変わらなければある程度豊かで良いではないかという意見もあります。しかし、私はそうは思いません。ひとつは、世界的な経済的順位でそのポジショニングが悪くなると、海外からの市場や生産拠点としての注目度が下がるだけでなく、ますます日本企業の海外進出(つまり、空洞化)が進み、想定以上に経済が悪化する懸念があるのです。資源に乏しいわが国では、海外企業の日本進出や輸出に活路を見出す必要がありますが、それが難しくなるということです。そうなれば、さらに税負担や財政赤字が増加するという悪循環になります。

 さらには、このままでは、財政赤字の残高はますます増加します。消費税率を上げても、赤字残高は増える一方です。そして、GDPは小さくなるのですから、財政赤字を見る指標としてよく使われる「対名目GDP比」の赤字残高はますます増加するということになります。今でも、その数字は200%を超えていて先進国中で断トツの第1位ですが、それがますます悪化するということです。このまま推移すれば、財政破たんのリスクがさらに高まるのです。

 しかし、暗い側面だけではありません。日本には新しい技術やサービスを生み出す「イノベーション」の力があります。最先端の技術を開発し、また、世界的にも非常にすぐれた繊細なサービスを提供していけば、まだまだこの国の経済を伸ばしていくことができます。そのためには、それらの優れた技術やサービスの分野に資源を集中し、また、それらをアピールしていくことがとても大切です。アベノミクスの真価が問われる2014年ですが、ぜひそのことを考慮した「本物の」成長戦略が発表され、実行に移されることを期待したいものです。そして、私たちも、強みを活かし、各企業が努力を続けていかなければならないことも言うまでもありません。