香港で思ったこと

2014.03.25発行 Vol.219
 今月は2度香港を訪問しました。3月上旬に行ったのは1泊2日でしたが、卒業した米国のビジネススクールの会合があったためです。先週末の訪問は、当社の社員旅行でした。香港訪問は、実は20年以上ぶりでした。

 20年位前には、仕事の関係で短期間の間に4度ほど香港を訪問しました。香港が中国に返還される前で、空港も九龍半島にあった高層アパートの洗濯物の間を降りていくような啓徳空港だったのですが、今ではランタオ島というところに立派な空港ができています。市内への移動はとても便利で、鉄道が空港内に乗り入れており、10分おきの発車で、九龍までなら20分、香港島の中心部まででも24分という速さです。車でも40分ほどで九龍まで行きます。

 私がとても興味があったのは、香港が返還の影響をどれだけ受けているのかということですが、街を歩いた感じでは、それを全く感じませんでした。中国本土では、治安維持のために警察官や軍隊が多く配備され、地下鉄などもセキュリティーがとても厳しいのですが、香港では全くそういうことはありません。20年前の自由と雑然さがそのまま残っていました。もちろん、街は以前よりはかなりきれいになっていましたが、それでも香港独特の雰囲気は色濃く残っていました。ただ、一度入ると出られないと言われた魔窟の「九龍城」はなくなっており公園になっているとのこと、啓徳空港の跡地はクルーズ船のターミナルに変身中でした。

 少し政治的な臭いを感じたのは、観光地のお寺の駐車場で、本土ではかなりの規制を受けていると言われる法輪功の人たちがパンフレットを配っているのを見かけたときです。しかし、別に警察がいるわけでもなく、また大騒ぎをしているわけでもなかったことから、香港の自由は「一国二制度」として維持されているということでしょう。

 少し変わったことと言えば、発券銀行が3行になったことです。日本では日銀が発券銀行ですが、香港では、英国系のスタンダード・チャータード銀行と香港上海銀行(HSBC)が以前は発券銀行でしたが、中国への返還を機に中国銀行も発券銀行となっており、3種類の香港ドル紙幣が流通していました。

 返還の影響をほとんど感じませんでしたが、中国本土からの観光客が急激に増加しているということで、私たちも行く先々の観光地でそれを感じざるをえませんでした。

 周辺国との間では、ときどき牙をむく中国ですが、香港に関してはかなりの「自治」を認めています。その背景には、金融や観光都市香港に「儲けて」もらいたいということもあるでしょうが、台湾への思惑もあるでしょう。香港をあまりに締め付ければ中国が最も併合したいと考える台湾の反発は高まることは必至です。

 いずれにしても香港のこの状態が長く続くことを願うばかりです。最後に今年も社員と旅行に行けたことをお客さまと社員に感謝いたします。