食品偽装とお客さま第一

2013.11.12発行 Vol.210
 このところ皆さんもご存じのように、有名ホテルや百貨店での食品の偽装表示の問題が、次々と明らかになっています。私たちが大阪でセミナーに使うホテルでも同様の問題が表面化しました。

 その際の各社の対応を見ていると、「言い訳」に終始しているように見えた部分も少なくありません。表面的には謝罪していますが、それが心からお客さまに対して申し訳ないという気持ちで出ていたのかは疑問です。電鉄系のホテルが結構問題になりましたが、彼らはお客さまに謝罪しているというよりは、自社の信用を失ったことが親会社である電鉄に対して申し訳ない、そして、その親会社に対して言い訳をしているように私には思えました。辞職を即座に表明したホテルチェーンの社長もいましたが、原因究明や対応策を取ることもなく、親会社への「飛び火」を早急に食い止めるためにそそくさと辞めたようにも勘繰れました。それで親会社への点数を稼いだわけです。

 私どもの会社でも、もう10年近く同じホテルをセミナー会場として使っており、そのホテルの信用も私たちのセミナーの価値の一部でしたが、そのことに彼らは気づいているのでしょうか。ホテルを使っているお客さまにも多大な迷惑がかかっています。もちろん、まじめに自社のブランドを守るべく働いている従業員さんにも大きな迷惑がかかっているのです。

 この原因はどこにあるのでしょうか。私は、やはり根本的には、仕事に対する「使命感」や仕事を通じてお客さまや社会に貢献しようという気持ちが足りなかったからだと思っています。それがなければ、仕事は単なる金儲けとなってしまいます。別の見方をすれば、内部思考が強い組織で、お客さまは単に自分たちが食べていくための道具くらいにしか思っていなかったのではないかと思われます。

 いずれにしても、お客さまを大切にする気持ちやお客さまから見た、そしてお客さまにとっての信用の大切さが十分に理解されていないのがとても残念です。

 私の人生の師匠の故藤本幸邦老師は「お金を追うな、仕事を追え」とおっしゃっていました。良い仕事をしようということです。そのほうが、結果的にお客さまの信頼を得て、長期にわたって売上高や利益を高めるのです。それがブランドを生みだすのです。今回の事件で、彼らが失った最大のものは「信用」や「信頼」です。元々、名前のあった会社に勤めている人たちには、その会社の名前やブランドの有難さは分かりにくいと思います。そして、それがいとも簡単に崩れることも分かっていないかもしれません。

 仕事とは何か、信用とは何かということを今一度考えさせられた事件でした。