言われたことをやるだけが仕事ではない

2010.07.27発行 Vol.131
 このところ出張の連続で、先週金曜日から日曜日にかけて大阪、博多と訪問し、いったん東京に戻ったあと、今日は尾張一宮。その後東京に戻り、また夕方に小田原に行く予定になっています。この出張の途中で、少し気になったことがあったので、今回はそのことをお話ししたいと思います。

 大阪のホテルの朝食会場で、老夫婦が食事を終え,席を立つときに、「ここの駅にはコインロッカーがありますか?」と若いウエートレスさんに質問をしました。ウエートレスさんは少し考えた上で、ニコッとして「はい。コインロッカーはございます。」と答えました。老夫婦はそれを聞いてすぐにその場を立ち去りまし
た。

  私はそのやりとりを少し離れたところで聞いていたのですが、ウエートレスさんは多分、地下鉄の駅のことを思い出せたので、一瞬ニコッとしたのだと思いますが、私は彼女の答えはまったく不十分だと思いました。というのは、そのホテルは比較的良いホテルだったので、もちろんクロークがあります。そして、そのホテルは地下鉄の駅の真上にあるのです。お客さまの目的は、コインロッカーそのものではなくて、荷物を預けるということだったはずです。気がつく人なら、「ホテルにクロークがありますから、そちらをお使いいただけます。」と、言えたはずです。もちろん、ホテルと地下鉄駅が遠く離れていたのなら、そのウエートレスさんの答えも先ほどのもので悪くなかったと思いますが、先ほども説明したように、そのホテルは地下鉄駅の真上にあるのです。大切なことは、お客さまの本当の目的を知ることです。

  確かに、「コインロッカーはあるのか?」という質問に、ウエートレスさんは間違いなく答えているのですが、お客さまが求めていることは、『荷物を預けたい』ということだということに気づけば、クロークの話ができたはずです。

  お客さま第一とよく言われますが、その本質は「お客さまの立場に立つ」ことだと思います。「お客さまのために」というだけではなく、本当にお客さまの立場に立って、お客さまの視点で、お客さまが本当に求めていらっしゃることを提供するのがお客さま第一だと考えます。言われたことをするだけでは十分ではないのです。

  こんな偉そうなことを言っていても、残念ながら私を含めて当社でもお客さま第一が十分ではありません。言われたことを右から左にこなしているだけのような仕事をしてしまいがちだからです。一歩踏み込むとよく私は言いますが、一歩踏み込んで、お客さまの立場に立って、また、内部事務をしている人なら周りの人の立場になって、相手の本当の目的は何なのかということを考えることが必要です。それが、「作業」を「仕事」にすることだと思います。