視点を変える

2014.04.22発行 Vol.221
 毎年4月下旬のこの時期に長野県松本市の親しいお客さまの経営方針発表会に参加しています。もう10年以上参加していますが、そのお客さまが発展するのを見るのをとても楽しみにしているとともに、この時期はたいてい松本城の桜が満開のことが多く、途中車窓から見える諏訪や松本の桜を見るのもとても楽しみにしています。

 ふと、松本の桜を見ていて思ったのが、どうしても自分の立場や立ち位置が考え方の中心になってものごとを見ているということです。この時期、東京ではずいぶん前に桜が散り、桜の話題も忘れてしまっているころです。私も知らず知らずのうちに、東京に住んでいる自分の視点で見てしまいがちです。東京に住んでいる人間から見ると、松本の桜は咲くのが遅いということですが、松本の方たちから見れば、東京の桜が咲くのが早いということです。自分の視点をどこに置くかで、見方や考え方が違ってしまうのです。

 桜の咲く時期についても、自分がどこに住んでいるかで、早い、遅いが決まりますが、それ以外のことでも、自分の視点にとらわれていることはないでしょうか。円錐は、横から見れば三角形ですが、上や下から見れば円です。見る方向によって、その見え方は違うものです。そして、三角形に見えていることも円に見えていることもどちらも正しいのです。

 自分たちは、どうしても自分のこれまでの経験や自分の置かれた位置を中心にものごとを見がちです。それは仕方のない部分もありますが、そのために見落としている視点も少なくないのではないでしょうか。自分の視点にとらわれるあまり、本来見ることのできることや、さらには見なければならないことを見落としているのではないでしょうか。

 松下幸之助さんも、変幻自在に視点を変えることができれば、ビジネスや人生にはいくらでもヒントがあるとおっしゃっていますが、とらわれた見方ゆえに、チャンスを失っていたり、うまくいかなくなっていることは少なくないと思います。

 昔、般若心経の「空」の心というものは、「とらわれない、こだわらない、偏らない、」と教わったことがありました。自分の視点にとらわれ、それゆえに偏ったものの見方となり、さらにそれにこだわるということが、この「空」というものの真逆ではないかと思います。それ故に、普段から、自分の視点を少しずつでも良いから変えてみることが大切でしょう。自分の今の視点と違う視点で物事を見たらどうだろうと考えてみることです。あえて違う視点で見る、他人の視点で考えてみるということが、人生やビジネスに違った見方やヒントを与え、行き詰った考えに活路を見出すのではないでしょうか。松本城の咲き誇る桜を見て、ふと反省した次第です。