被災した熊本城を見学して感じたこと

2017.11.14発行 Vol.306
先日、当社の会員さん対象に、熊本城と熊本市内の顧問先さんの見学会を行いました。会員さん向けのゴルフコンペを年に2回行っているのですが、「被災地にお金が落ちるように」という会員さんからの発案から、今回は熊本での開催となりました。熊本城と顧問先さんの見学は、ゴルフコンペの前日のイベントということで、ゴルフをされない方も含めて約40名の方に熊本に集まっていただけました。

まず、全員で熊本城を見学しました。昨年4月に被災し、城壁や櫓、天守閣などの一部が大きく損壊していました。地元の会員さんにご案内いただいたのですが、崩れた城壁の石垣の石は、すべて番号をつけて元通りに組み直すとのことです。また、天守閣には覆いがかぶせられ、巨大なクレーンが建ち、修復作業が急ピッチで進められていましたが、それでも完全に修復するには20年ほどの年月がかかるそうです。完全に取り壊して作り直すほうが早いという意見もあるそうです。

私は、そのお話を聞いたときに、長い時間や費用がかかることは大変ですが、それも良いように解釈すべきだと思いました。その間、熊本の人のみならず、全国から熊本を訪れる人は、熊本城を見るたびに、震災を思い出すと思います。そして、そのことは、自然の恐怖や天災の猛威を忘れないことになると思います。
人は、とかく、つらいこともそうでないことも忘れがちです。それを忘れないためには、震災で被災した熊本城を、簡単な方法でなく、長い時間や費用をかけて、修復することも大きな意味があると思ったのです。

見学をほぼ終えて、入り口近くの城彩苑という地元名産品などを売っているお店が並ぶところで少し休憩していると、知らない男性から「どこから来たのですか」と声をかけられました。私は「東京です」と返答し、隣にいた当社の会員さんは「大阪です」と答えました。男性は、うれしそうな顔をして、「差し上げるものはこれしかないのですが」と言って、カバンの中に入っていた、くまモンのキャラが書かれた地元銀行のティッシュペーパーをひとつずつ私たちにくれました。

その男性は、銀行の人でも、震災復興に直接携わっている人でもないとのことでしたが、「時々くるのです」とおっしゃっていました。地元の方でしたが、熊本や熊本城に特別の思いがおありなのでしょう。被災した熊本城を遠くから見に来た私たちに何らかのおもてなしをしなければと思われたのかもしれませんが、私には、そのティッシュペーパーにその男性の思いが詰まっているようでとても貴重なもののように思えました。

熊本には顧問先さんがいらっしゃるので私は数カ月に一度は訪問しています。今では、震災直後のような状況はあまり見られませんが、地震や台風の被害を受ける日本では、私たちもいつ被災者になるか分かりません。被災地に寄り添う気持ちを持ち続けるとともに、いつ来るかもしれない災害に備えをすることがとても大切だとつくづく思った熊本訪問でした。


【小宮 一慶】