脱法ハーブとカジノ

2014.07.22発行 Vol.227
 このところ脱法ハーブを使用した人が引き起こす事件が頻発しています。一説ではその使用者は数十万人にも達すると言われています。これだけ事件が起こっているのですから、警察や政府も対応を進めようとしていますが、なかなかその効果が出ていないのも実情です。      

 対応が進まない理由としては、新種のハーブが次々と出てそれに法律の対応が追い付かないということがあります。刑法はじめ、犯罪者に刑罰を加える法律(脱法ハーブに関しては「麻薬及び向精神薬取締法」「薬事法」)は、その要件を明確にする必要があるからです。あいまいな基準で刑罰を科することができるようになれば、裁量の範囲が大きくなり、場合によっては、権力者にとって都合の悪い人間を捕えることができる可能性があるからです。しかし、この脱法ハーブの現状を考えた場合、人に危害を加える可能性があるハーブの使用に関しては、ある程度おおぐくりで刑罰の対象として良いのではないかと考えます。国民の権利や自由の制限には細心の注意が必要ですが、これ以上脱法ハーブ使用者による事故の犠牲者を増やすことは、社会にとって許されることではないと考えるからです。       

 一方、カジノを特区で認めようという風潮が強まっています。主に、経済的な理由が多いようですが、東京や大阪などが名乗りを上げようとしています。私は、学生時代に法律を勉強しましたが、法律の観点から少し疑問を感じています。 法律というのは人と人、あるいは国家と人との関係を規定するものです。その背景には、文化や倫理観といったものがあり、それが法律となって、人々の行動に制限をかけるなどしているのです。その中で刑法は、刑罰もあり、刑を受ける者の自由を奪い、場合によっては生命までをも剥奪することを規定した法律です。国民の権利や自由を奪うという観点からは、最も厳しい法律と言えます。それ故に、その背景にあるのは、そういった刑を受けなければならないほどの許されるべきでない行為を取り締まるためのもので、さらにその奥には、国民の倫理観や文化などがあるのです。 賭博を行うことは従来から刑法上の罪となっています。それだけ、社会に大きな影響を与えると考えられてきたからです。もちろん、今でもパチンコなどは合法的に認められていますが、カジノは掛け金の額が違います。大王製紙の元経営者の件を見ても、それは明らかです。

  もちろん、刑法も時代の変化で変わっていくものです。以前は「尊属殺人罪」というものがあり、無期懲役または死刑というとても厳しい刑罰が適用されましたが、時代の流れで「殺人罪」に吸収されました。殺人罪では3年以上または無期懲役、死刑が適用されますので、尊属殺人の場合でも、事情があれば3年以上の懲役とすることができるようになりました。これは従来の刑法の規定が、現在の事情にそぐわないといったことがあると言えます。 

  一方、賭博に関しては、倫理観や文化的背景が変わっているということであるかもしれませんが、脱法ハーブに溺れる人が跡を絶たない現状、賭博中毒になる人も少なくないと考えられ、経済的事情だけからではなく、日本のあるべき姿も含めて慎重に考えられるべき問題だと私は思います。