経営者は大変だがやりがいのある仕事

2018.03.27発行 Vol.315
12月決算などの会社が増えましたが、それでも3月末で期末という会社がまだまだ多いと思います。当社も3月末が決算です。決算や新しい期を迎えるたびに、経営者として思うことがあります。ひとつは、経営者というのは大変な仕事だということです。というのは、前期の成績が良くても、それが次の期の業績を保証するものではないからです。あくまでも、前期は前期、今期はまた1からスタートしなければならないのです。ましてや、売上げや利益が低迷している、あるいは大幅に落ちたというような会社の経営者は大変です。

昨日やったことを今日、明日もコツコツと続けていると何とかなるということでないのが、経営の大変なところです。現場で働く人ならその意識でもなんとかなるかもしれませんが、経営は、外部環境の変化やライバル他社と比べての相対的な強みを十分に認識した上で、他社と差別化し、業績を出すための「方向づけ」を行わなければならないからです。環境がどんどん変化する中で、「何をやるか、やらないか」を決めていかなければならないのです。

そして、明確で高い目標を立て、そのためのKPI(Key Performance Index;重要な行動目標値)を決め、そして、それを確実にクリアしていかなければならないのです。そのための施策も十分に練り、いつまでに何をするということを決めて、部下にもそれを徹底し、確実に実行させていかなければならないのです。さらには、日々いろんな問題が出てきます。それに対応するとともに、お客さまや働く人などとの関係もうまく保たなければならないのです。また、それとともに、将来のために、仕組みつくりを行い、そのための「人、物、金」も用意しなければなりません。そして、何よりも大切な考え方を日々浸透させることも必要です。それでやっと、結果が出るのです。結果が出なければだれも評価しません。単なる「バカ社長」です。「社長」という肩書だけで勝負できるほど甘い仕事ではないのです。

経営を評論家的に批評するのは簡単ですが、実際にやるのは本当に難しいのです。よく、ナンバー2だった人が社長になって「全く違う」というのはそのためです。当事者にならなければ分かりません。また、やってみてはじめてその実力が分かるのです。やれそうだったがやってみたらダメだった人、逆に前評判とは違って意外と実力を出す人もいます。いずれにしても、経営者は結果でしか評価されません。

経営を知らない人は、経営者の「腕」や力量ということをあまり認識しておらず、だれでもある程度はやれると勘違いしている人も少なからずいますが、多くの経営者を見てきた経験で言うと、本当にその実力には格段の差があるのです。それが経営成績に表れるのですが、それは、営業職や研究職、専門職でも大きな差があるように、さらには、絵を描くことや、プロスポーツでもそれぞれに大きな差があるのと同じです。

 それでも、経営は楽しい仕事です。ピーター・ドラッカーは「顧客の創造」がマネジメントの目的だと言っていますが、新たな商品やサービスを開発し、それによりお客さまが増え、また、働く人に働きがいとともに経済的幸せを与えられるのも、経営の仕事です。世の中に大きく貢献できる仕事なのです。本当に素晴らしい仕事です。
 私は講演で「楽(らく)でない仕事を楽しくやることが大切」というお話をよくしますが、経営というのはまさにそういう仕事ではないでしょうか。経営者は経営という仕事の大変さと楽しさを十分に認識し、そのための実力を日々磨くこと、精進することが大切ですね。


【小宮 一慶】