素直ということ

2011.12.13発行 Vol.164
 師走に入り、何かとあわただしいこの頃ですが、あわただしいときほど、基本に忠実にということが大切だと思います。今回のメルマガでは、人間の原点として最も大切な「素直」ということをお話ししたいと思います。素直であることは、実際はなかなか難しいことですが、経営においても人生においても本当に大切なことだと思います。

 私は、素直には3つのステップがあると考えています。まず、最初のステップは、人の話を「聞く」ということです。相手を受け入れる気持ちです。
相手を受け入れるという気持ちがなければ、聞くことはできません。東洋哲学の大家の安岡正篤先生は、「話の聞き方でその人物の練れ具合が分かる」とまでおっしゃっていますが、聞くのはそれほど難しいことなのです。

 財界の鞍馬天狗と言われた、日本興業銀行の頭取をされていた中山素平さんが、松下幸之助さんを評して「松下幸之助さんほど、人の話を聞くのがうまい人はいなかった。自分を抑えるのがうまい人だった」と書かれていたのを以前読んだことがありますが、自分を抑えなければ人の話を本当に聞くことはできません。

 セブン&アイ・ホールディングスの創業者である伊藤雅俊さんは、どんな人の話にも熱心にメモを取られるということを、伊藤さんに親しい複数の方から聞いたことがありますが、やはり謙虚で素直でなければ人の話にメモを取れないと思います。私も部下の話にメモを取らなければと思っています。
「アンテナは高く、腰は低く」と言いますが、謙虚に腰を低くしていないと情報が入ってこないということでしょう。

 素直の第2ステップは、聞いてみて「良いな」と思うことで、リスクの小さなことはやってみるということです。聞いたふりが一番よくありません。行動しない限り、何も変わらないのです。もちろん、リスクの大きなことは、慎重な上にも慎重に考えなければなりません。でも、たとえば、「部下の話にメモをとる」といったようなことは、それほどリスクのあることではありませんね。そういうことはどんどんやってみることです。論語には、「言おうとすることはまずやってみることだ。そしてその後にそれを言うべきだ」とありますが、やはり、考えていることを行動に落とし込むということが大切なのです。

 人が言って良いということで、リスクの小さなことはとにかくやってみることです。もちろん、自分に合わないことまでやってみる必要はありませんが、「いいな」と思ったことを、どんどんやっていると、行動力がついてきますし、良いことですから、自身の実力や評判も当然上がります。

 素直の第3ステップは、良いと思って始めたことを、やり続けるということです。いつまでやり続けるかというと、結果が出るまでやり続けるのです。すぐに結果が出るものばかりではありません。むしろ、多くのことはすぐには結果の出ないことです。だから難しいのです。しかし、「紙一重の積み重ね」で、小さな正しい習慣を続けているとどこかでかならず結果が出ます。そして、本当に良いことは、一生やり続けるのです。

 気ぜわしい年末ですが、いつも素直で謙虚でありたいですね。