米国東海岸視察

2015.07.14発行 Vol.250
 3年ぶりにお客さまと米国の東海岸に行きました。今回の視察ツアーの目的は二つあり、メインはロードアイランド州ニューポートにある米海軍大学を視察することでした。以前、当社のセミナーでもお世話になった海上自衛隊幹部学校の教官の下平一等海佐が、現在米海軍大学で教鞭をとっておられ、下平一佐を訪ねて同校を視察しました。

 海軍大学は海軍の将来の提督などエリートを養成する学校ですが、1956年から外国人の入学を認めており、その最初の留学生は日本とドイツからの将校たちだったとのことです。先の大戦において「もっと事前に対話をすべきだった」との反省から、両国からの留学生を受け入れたと学部長さんから説明がありました。現在では、多くの国から将来の海軍の幹部候補を受け入れており、同じ釜の飯を食べることで意識の共有などを図っています。勉強は結構厳しいようで週に80時間程度は学業が必要とのことでした。

 同校の博物館を訪れたときに印象的だったのは、同地の出身者で幕末に日本を訪れたペリー提督の胸像を見たことでした。とてもハンサムな人で、江戸時代末期に錦絵などで鬼のような形相で描かれたものと全く違うものでした。その絵を見て当時の孝明天皇が外国人を恐れたことも攘夷に影響を与えたと言われていますが、情報の伝達の怖さということも海軍大学を訪問して感じたことです。

 もうひとつの目的はニューヨークの再開発地区の視察です。暑い中、3カ所訪れました。いずれの地域も、以前は荒れていて危険な場所でしたが、今では多くの観光客を集める観光地になっています。ハイラインと呼ばれる電車の廃線を利用した遊歩道は3年前にニューヨークを訪れたときにも一部できていましたが、さらに遊歩道が延伸し整備されていました。3年前と違っていたのは、延伸されただけでなく、観光客などが増えたせいで、周りのビルの再開発も進んだことです。今でも大規模な開発が行われています。

 特に目を引いたのが、列車の操車場の再開発です。東京にオリンピック候補地として敗れたニューヨークですが、実は今お話しているハイラインに付属する列車の操車場を競技場の候補地にしていたのです。その場所で大規模な再開発が行われており、おそらく数年後には、巨大ビルや公園、コンサート会場などが出来上がっていて、そのあたりの光景も大きく変わっていることでしょう。エンパイアステートビルなど摩天楼に慣れているニューヨークっ子たちにも、新鮮に感じるほどの再開発となることでしょう。

 日本からも自治体の長などが視察に来ているとのことですが、多くの規制をクリアし、それをやり遂げる実行力がないとニューヨークほどには再開発は進まないでしょう。今回は訪れることはできませんでしたが、危険なことで有名だったハーレムも再開発が進んでいるとのことで、数年後にはぜひ訪れたいと思っています。先ほどのペリー像もそうですが、実際に見たり会ったりすることはとても大切だと思いました。

 余談ですが、9.11テロで大きな被害にあったワールドトレードセンターは100階建ての新しいビルが竣工し、展望台が開業して間もなくでした。31年前に留学したときに登った元のビルと違い、ディスプレーなどがとても工夫されていました。ビル自体にはテロを感じさせるものは何一つありません。私はこの場所の訪問は、9.11テロ以降は2002年、2012年に次いで3度目となります。2002年のときは、H型鋼で作られた十字架が跡地の工事現場に掲げられており、悲惨さがそのまま残った状況でした。それと比べると見違えるような立派なビルが建ちあがりましたが、ビルの隣にあるテロで犠牲になった方たちのメモリアルと新しいビルをどうしても対比して見てしまい、複雑な気持ちになったのは私だけではなかったでしょう。