米中間選挙の結果は中国、日本経済に悪影響

2018.11.13発行 Vol.330
「米中間選挙の結果は中国、日本経済に悪影響」

米国の中間選挙が終わり、上院はトランプ政権の与党共和党、下院は野党民主党が過半数となりました。トランプ大統領は「大勝利」と発言しましたが、議会ではねじれがおこり、議会運営がこれまで以上に厳しくなることは間違いありません。ロシア疑惑などの成り行き次第では、下院で大統領の弾劾決議が起こされ、それが上院で否決されるという事態も起こるでしょう。

最も懸念されるのは、予算についてです。大統領ののぞむ政策の予算が議会通過で難航することがこれまで以上に多くなることが考えられ、そうなれば、メキシコ国境との間の「壁」やその他の公約にも大きな影響が出る可能性があります。
一方、トランプ大統領としては、次の焦点は2020年の大統領選挙での再選ということになります。その中で、予算を含めた議会運営がさらに難しくなるわけですから、外交に大統領支持の基盤を今まで以上に求めると考えられます。
その際に、最も影響を受けるのは中国でしょう。貿易摩擦問題で強硬姿勢を貫くトランプ政権ですが、こちらは米国にとって勝ち目が大きく、国民にアピールしやすいからです。
中国から米国への輸出は約5千億ドル、米国から中国へは1300億ドルほどです。その差額約3700億ドルが、米国から見た貿易赤字ですが、これは米国全体の貿易赤字額の約半分です。
トランプ政権は中国からの貿易品目に10%から20%の関税をかけ、中国もそれに対して報復関税で応じていますが、米国から見て3700億ドルの貿易赤字があるということは、それだけの差額があるということですから、早晩、中国は報復関税をかけることができなくなります。中国経済は減速傾向を強めていますが、トランプ政権が強硬姿勢を崩さなければ、経済の輸出依存度が高い中国経済はますます減速する可能性があります。

トランプ政権は、貿易問題を解決するだけでなく、中国の国力を弱めることも視野に入れていると私は考えています。つまり、米国としてはできるだけ長く米ドルの「基軸通貨」の地位を維持するためにも、そして、軍事的な覇権を維持するためにも、一番の「敵」は中国です。米国が膨大な貿易赤字を抱えながらも、米ドルが暴落しないのは、世界中の国々が貿易決済のためなどに基軸通貨である米ドルを求めるからです。中国は将来その地位を脅かす可能性があるのです。その中国の力を今のうちにそぐ良い方法が、関税をかけるなどして、中国の国力を弱めることなのです。

もちろん、関税をかけあうことは米国経済にも悪影響が出ますが、これは「身を切らせて骨を切る」政策にも見えなくはありません。いずれにしても、米国と並ぶ大きな貿易相手地域であるEUも景気が減速しており、中国経済は減速をまぬかれないでしょう。そうなると、中国経済に大きく依存している日本経済や東南アジア経済も影響を受けざるをえないと私は考えています。今後のトランプ政権の政策に注目です。



【小宮 一慶】