社員旅行と意味と意識

2012.05.22発行 Vol.175
 先週後半、長いお付き合いの顧問先さんの社員旅行に同行して4泊5日でグアムに行ってきました。2年に一度の社員旅行にだいたい同行させてもらっていますが、今回は、そのお客さまの60周年記念ということもあって、パーティもあり、とても楽しい時間を過ごせました。140名ほどの社員さんのうち、100名強が2班に分かれての旅行でしたが、とても良かったと思っています。

 以前、大企業のサラリーマンと話していたら、「今時、社員旅行なんて行く会社があるのですか?」と言われたことがありました。続けて、彼は「若い人たちは行きたがらないでしょう」とも言っていました。

 この話を聞いたときに、私が即座に思ったのは、この人は会社が嫌いなんだなということです。少なくとも、会社を離れたら、職場の人とはあまり付き合いたくないという気持ちがあるのではないでしょうか。皆さんも好きな人となら、旅行や遊びに行きたいですよね。この人も、家族や親しい友人となら食事や旅行に行きたいのではないかと思います。でも職場の人とは行きたくない。

 職場を、ただ単に働いてお金を稼ぐ場ととらえているとすれば、とても残念なことだと思います。せっかくの人生の大切な時間の大部分を費やしている職場が、単にお金儲けのための場なら、会社に行くのもつらいかもしれません。ましてや社員旅行になどは行きたくないでしょう。逆に、仕事も職場も楽しいのなら、こんなに良いことはありません。職場の仲間が本当に好きなら、喜んで社員旅行にも参加するはずです。事実、私が同行させてもらった会社では、若い人たちもたくさん参加しています。

 少しコンサルタント的な見方をすれば、コミュニケーションというのは「意味」と「意識」の両方が必要だと私は思っています。職場でやってもらいたいこと、たとえば、○○会社を訪問する、提案資料を作成するなどは、意味に属します。しかし、意識が共有されているかどうかということが、意味が伝わりやすいかどうかに大きく影響します。皆さんも、同じ意味のことをAさんに言われたら進んでやりたいけれども、Bさんに言われたらやりたくないと言うことはありますよね。これは、意味は同じでも意識の共有が違っているからなのです。

 そういった意味では、職場で意識が共有されているかどうか、さらに言えば、職場の仲間を好きかどうかということはとても大切なことです。ある会社では、「社員」や「従業員」という言葉を使わずに、必ず「働く仲間」と言っています。仲間としての意識の共有の大切さを知っているからです。もちろん、そういう意識が共有され、お互いを好きで尊重している会社のほうが、働く人にとっても楽しいし、結果として業績も良いものです。お金をかせぐためだけの付き合いの組織よりはもちろん、強い組織です。そうした意味では、普段からの飲み会や、今回のような社員旅行は、連帯感を強め、意識の共有がさらに進むという良い循環を生みやすいと言えます。

 もちろん、今回ご一緒させていただいた顧問先さんも業績は好調です。パーティでの社長以下幹部たちの満足げな顔や、帰国直後の成田空港での若い社員さんたちが「また、来たいね」と言いながらうれしそうな顔をしているのを見たときには、経営コンサルタントをしていてつくづく良かったと思いました。