目標についての考え方

2018.09.25発行 Vol.327
皆さんの会社では経営計画を立て、年間目標を立てていると思いますが、進捗はどうでしょうか。先々週東京で、そして先週大阪で行った実践セミナーは経営戦略立案がテーマだったので、そこでもお話したことですが、経営者やリーダーは目標に対してきちんとした姿勢を持つことがとても大切だと私は考えています。というのは、会社によっては、到底達成不可能なような目標をかかげ、本音ではそれに達成できなくてもある程度達成すればいいと考えているところもあるからです。また、目標など所詮だいたいできればいい程度に考えている人もいますが、私はその考え方に反対です。そんなことを続けていると、目標を達成しない悪いクセがついてしまいます。

私のお客さまで自動車部品メーカーさんがありますが、そこでは決まった数の製品を、決まった一定時間に、それも「6シグマ」と言って欠陥率を100万個に1個程度の単位で納入しなければなりません。そんなところに、目標などだいたい達成できればいいなどというアドバイスをしたらどうなるでしょうか。上場会社の社外役員をしていますが、開示している売上高が1割、利益で3割ブレると、修正開示が必要になります。私も個人的には月に10本ほどの連載を持っていますが、締め切りをアバウトに考えていると多くの人に迷惑がかかります。だいたいの目標など、これらの世界では通用しないのです。目標とは達成すべきものです。結果的にできないことはあるかもしれませんが、とにかく、達成することを前提に頑張ることが大切なのです。

目標設定については、「ストレッチ目標」という考え方があります。会議などに出ていると、頑張ることを「ストレッチ」と言っている会社もありますが、本当はそういう意味ではありません。ストレッチ目標とは、外部環境や内部環境がベストの時に、達成できる目標のことを言います。外部環境とは自社ではコントロールできないライバル企業や市場、法制度、人口動態の変化、気候変動などを言い、内部環境は自社のヒト、モノ、カネなどの状況や他社と比べての優位性などを表します。そして、外部環境、内部環境ともにベストの状態で達成できる目標がストレッチ目標なのです。

その際に、外部環境要因での売上げや利益の変動は経営者の責任ではありません。一方、営業所を予定通りに開設できなかった、営業マンが思ったように働かなかった、工場の稼働率が十分でなかったなどは経営者や責任者の責任です。もちろん、後者により経営者や幹部はパフォーマンスが評価されますから、経営者は内部環境がベストの状態をどうつくり出すかということが大切です。もちろん、それとともに、マーケティングやイノベーションの目標もきちんと達成することが求められます。

中小企業の場合、そこまで厳密に目標設定はできないでしょうが、目標をいかに設定するかは経営者の腕そのものです。そして、それをどのように達成するかに経営手腕が試されるのです。
PDCA(Plan、Do、Check、Action)が大切と言われ、その通りなのですが、まずは、目標が適正に設定されているかどうかが大切です。そして、PDCAの本質は「反省」で、目標からかい離している場合には、すばやく次の手を打てるかどうかです。すぐに対応策をさぐり実行することです。成り行きで経営するなら経営者は不要です。他社よりも高いパフォーマンスを出せるかどうか、以前よりも高いパフォーマンスを出せるかどうかが重要なのです。そこそこでいいなどと思っているようでは経営者失格です。

3月末を期末としている企業も多く、そういうところでは9月末は中間期末です。もうすぐ、年度の半分が終わるということです。ぜひ、期初に立てた年度の目標をこの機会に見直してみて、進捗が思わしくなければ新たな施策を打ってください。これは人生でも同じですね。

【小宮 一慶】