松下幸之助さんに学ぶ生き方と経営

2014.09.09発行 Vol.230
 今、松下幸之助さんの多くの金言を解説する本を書いています。あと、数か月で出版できると思います。その本を書くために、改めて松下幸之助さんの言葉を読み直しましたが、やはり私にはとても勉強になることが少なくありませんでした。

 松下さんの『道をひらく』(PHP研究所)は、20数年前から東京にいるときには必ず寝る前に数ページ読むようにしています。そういう読み方をしていると、毎年、5回程度は読めますから、もう100回以上同じ本を読んでいると思います。この本は、500万部を突破しましたが、それだけの立派な本であることは間違いありません。同じ本をそんなに読んで飽きないのかという質問を受けることもありますが、飽きるどころか益々新鮮です。「腑に落ちる」という言葉がありますが、頭で理解するだけでなく、心で理解し、本当の信念やバックボーンになるには、毎日の生活をしながら、原理原則に立ち返ることが大切だと思います。
 
 20年ほど前に経営コンサルタントとして独立する際に、松下さんの本とドラッカー氏の本をかなり読みこみました。20世紀の日本で最も成功した経営者と最も尊敬される経営コンサルタントの考え方を身に付けたかったからです。松下さんの本については、「経営のコツ」を得たいとも考えていました。

 しかし、松下さんの本をいくら読んでも経営のコツのようなことはほとんどなく、経営や生き方に対する考え方や姿勢のことばかりでした。松下さんの本を読みこんでいくうちに、技も必要かもしれないが、根本的な部分では、生き方や考え方がとても大事だということに気づきました。このことは、そのころに多くの教えを受けた、曹洞宗円福寺の藤本幸邦老師の考え方とも同じだということに気づきました。

 それ以来、私は、経営のアドバイスをするときに、マーケティングや財務の技的なアドバイスをするとともに、経営者の考え方や生き方についても話すようになりました。私が話していることの多くは、基本的には藤本老師や松下幸之助さんの考え方がベースになっています。

 松下幸之助さんの考え方で、大きな基本となっているのは、「素直」ということです。素直とは、人の話をよく聞き、人の知恵を生かすということとともに、起こったことを受け入れ、そしてそれに前向きに対応するということです。さらにこのベースとなっているのは、世の中が発展を続けるという「生成発展」という考え方です。世の中は、短期的なことは別としても良くなる方向に進んでいるということです。そして、人も企業も、社会の発展に寄与している限りは、自然に成功するともおっしゃっています。いずれにしても、いつも素直で謙虚でいたいものですね。