未来が予想より早くやってくる

2011.04.26発行 Vol.149
 大震災からひと月半が経ちました。被災地では復興に向けた動きが急ピッチで進んでいますが、いまだに多くの被災者の方々が苦労の多い生活をされています。また、原発問題は解決の糸口もまだ十分に見えないままで、避難されている方たちのご苦労は並大抵のものではありません。

 私は、今回の大震災が、日本の未来が良い意味でも悪い意味でも予想していたより早くやってくるのではないかと考えるようになりました。

 ひとつは産業の空洞化です。東北地方や北関東を中心に、自動車や電子部品のサプライチェーンが分断され日本だけでなく、世界各地の生産に大きな影響が出ました。また、それ以外の産業でも大ダメージを受けたところが少なくありません。もちろん、これらの産業の復興に向けた動きは加速していますが、一部の業種では、リスク回避の観点から、そして、将来の市場獲得の観点から、国内拠点を海外にシフトする動きが見られると思います。とくに、供給過剰の業界ではその傾向が強まると考えられます。このままでは空洞化がさらに加速するのです。

 もうひとつは、財政悪化です。4兆円強の第1次補正予算は、予算の組み替えや埋蔵金の掘り起こしなどで財源をねん出するようですが、これだけで復興予算が十分だとは言えません。さらに原発の補償も政府が支援しなければならない可能性もあります。また、大震災による企業業績の悪化などで予定していた税収を確保できない可能性も低くありません。

 もともと今年度では40兆円程度の財政赤字が見込まれていたのが、さらに財政赤字が膨らむことは必至です。財政赤字が先進国中最悪の対名目GDP比200%を超えることもそう遠い先ではありません。さらなる財政悪化は財政破綻の確率をさらに高めます。

 3点目は原発を含めたエネルギー行政の見直しです。福島第1原発の問題で、日本では新たな原発を建設することは少なくとも今後数10年間は不可能になりました。場合によっては、稼働を止めた原発の再稼働も難しい状況に追い込まれるでしょう。新興国の発展により、さらに石油などの化石燃料の価格の上昇が見込まれる中、エネルギー不足に陥る懸念がありますが、大震災により、関東圏ではこの夏電力不足が懸念されており、将来のエネルギー問題を先取りしたようにも思えます。

 私が懸念しているのはこれらのことですが、この困難な状況をチャンスに変えることもできるのではないでしょうか。まず、財政問題ですが、今年度下半期の経済状況にもよりますが、私は来年度から消費税を段階的に上げるべきだと考えています。来年度からの消費税上げを宣言することにより、今年度に消費を「先食い」するとともに、震災の復興財源を確保し、さらに、財政健全化のめどをつけられます。

 エネルギー問題に関して言えば、原発を5年くらいで全廃することを宣言すべきです。日本は地震の多発国で、また、北朝鮮などからのテロの脅威もあります。原発があるからリスクが高いのであれば、原発をなくしてしまえばよいのです。そして、風力や太陽光発電で代替すべきです。環境庁の試算では、風力発電などで十分に原発分の電力を供給できるとしています。節電の東京から地方に出張すると、地方の明るさに気づきます。地方ももう少し節電できると感じます。今までの東京などが明るすぎたのです。この際、日本は世界一のエコ国家に変身してはどうでしょうか。

 エコに徹すれば、工場もエコ化し、その分コスト削減も進みます。そうすれば、空洞化もいくぶんかは抑えられ、そのことがさらに経済を下支えします。

 今は本当に大変な時期です。しかし、「大変」という字は、「大きく変わる」と書きます。良い方向に大きく変わるべきときが来ていると感じています。