書くことと話すこと

2010.10.26発行 Vol.137
 私は仕事の一部が書くことです。もう少しで70冊目の本が出ます。一方、ときどき書くのが苦手という方にお会いします。私の持論は「話せる人は書ける」ということです。話さなくとも頭の中でいろんなことを考えることのできる人は書くことができます。それも訓練次第でちょっと気の利いた文章を比較的早く書
くことができるようになります。文章上達法のポイントは、とにかく話すように、あるいは頭の中で考えたように、まず書いてみることです。そして、それを何度か推敲する。後は慣れだけの問題です。

  逆に、書くことがある程度できるようになった人は、人前で話すことも上手くできるようになります。書く人は、書くことにより自分の考えがまとまりますし、話す文章が短くなり、聞き手から聞きやすい話をすることができるからです。話すことと書くことは大いに関係があるからです。

  書くことと、話すこと、双方において大切なことは「バリュー」と「インパクト」だと私は思っています。バリューとは読み手や聞き手にとって価値のあることです。相手にとって価値のあることでなければ、どんなに文章的に上手でも読んだり聞いたりしてもらえません。そして、それをインパクトあるように相手に伝えることです。どんなにバリューのあることでも相手の心に訴えかけるものでないと、十分に伝わらないか、すぐに忘れられてしまうからです。

  バリューということに関連して言えば、常にテーマを探していることも大切です。テーマがなければ書くことも話すこともできません。相手を想定してテーマを求めることです。私の場合ですと、このメルマガを読んでいただく読者の方にふさわしいテーマや、現在、雑誌や新聞などで月に12本の連載を持っていますから、それにふさわしいテーマを常に求めているのです。必要は発明の母なので、街をあるいていても新聞やテレビのニュースを見ていても、テーマになりそうなことを結構見つけますが、その際に、それらをメモしておくことも大切です。人間は忘れる動物なので、すぐに忘れてしまうこともしばしばです。私は、何か思いついたときにはすぐに手帳などにメモします。

  そして、それがバリューがあるか、さらにはインパクトを高めるためには、思いついたテーマをだれかに話してみることが大切です。ブログなどで書くことでもかまいません。アウトプットすることにより、それが「ウケる」かどうか試せるからです。友達や周りにいる人に少し話してみると反応が分かります。ウケる話というものは、バリューがあるか、インパクトの高いものだからです。

  私はだいたいこのメルマガをいつも20分前後で書きます。400字の原稿用紙3枚くらいです。「よくそんなに早く書けますね」と言われることがありますが、テーマを決めてから書き始めるからです。細かいことまで決めていませんが、だいたいの書き始めと、書く内容を先に考えているからです。普段話すように書いて、それを2度ほど推敲します。その中で、文字の間違いなどを正すとともに、インパクトを上げているのです。他の文章を書くときも同じです。

  最近『小宮式知的アウトプット術』(すばる舎)という本を出しました。私がこれまでに書いた比較的短い文章を例に出しながら、書き方のポイントや訓練法を説明しています。書くことに抵抗感のある方、もっとうまく、早く文章を書きたい方は参考にしていただければと思います。