景気と株価と『バフェット指数』

2015.05.26発行 Vol.247
 1-3月のGDP(国内総生産)が発表になり、実額の付加価値の国内合計である名目GDPが年率7.7%増加の500兆円弱となり、インフレを調整した実質GDPも2.4%の伸びと、経済は拡大気味に推移しています。そして、日経平均株価も2万円を超えるなど、堅調に推移しています。企業業績も今年度さらに売上高、最終利益を伸ばす予想の企業も少なくなく、そう言った点では、株価が上昇するのに一見うなづける要素があります。

 しかし、私は株価上昇ほどには国内景気は良くないのではないかと思っています。ひとつは、企業業績は好調ですが、海外で稼いでいる企業が多く、その分が株価に反映されているということです。もちろん、円安のおかげで輸出の採算は上がっており、それは国内景気を持ち上げていますが、株価が日本経済の実力値をそのまま表しているとは言い難いのです。

 また、公的年金の運用機関であるGPIFや日銀が断続的に株式を買い上げています。GPIFは日本株の運用比率を兆円単位で高め、日銀も株価連動のETF(上場投信)を買っています。株価を政府が下支えしていることは間違いなく、一部で「官制相場」と言われるゆえんです。

 さらには、世界一の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェットの「バフェット指数」も気にかかります。これは、株式の時価総額(株価×株数)を実体経済の大きさを表す名目GDPで割ったものですが、バフェットはこれが1倍を超えると、「バブル」の懸念があると考えるようです。1倍が基準かどうかは私には分かりませんが、実体経済の大きさと株式の時価総額を比べることは、株価の水準を見る上ではある程度理にかなっていると考えられます。

 現状、全世界で見た場合には、世界全体の時価総額が約74兆ドルで、名目国内総生産の合計もほぼ同じと言われています。世界全体では1倍程度で、欧州や日本の量的緩和などもあり、少しバブル気味とも言えます。一方、日本だけを見ると、時価総額は600兆円を超えており名目GDPの1.2倍程度まで上昇しています。この点でも株価が実力以上と言えなくもありません。

 もちろん、株価が景気に先行して上昇することはよくあることで珍しいことではありませんが、この株価が実力かどうかは、慎重に見極める必要があります。いずれにしても、個別企業の業績や将来見通しを知る必要もあります。

 話を名目国内総生産に戻すと、今後の焦点は、リーマンショック前の水準の513兆円まで回復するかどうかというところだと思います。2017年4月には2%の消費税率上げが控えています。2年足らずの時期です。それまでに、日本の景気をさらに持ち上げる必要があるでしょう。

 そして、絶対に見逃してはいけないのは、持続的に景気が拡大するかどうかということです。そのためには、量的緩和や財政出動といった「カンフル剤」だけでなく、本格的な成長戦略が必要なことは言うまでもありません。政府や国会は安全保障法制に焦点が当たっているようですが、6月に出るという成長戦略が、日本を再び長期的な成長軌道に乗せる本物であることを願ってやみません。