日銀政策決定会合に注目だが期待は低い

2019.09.10発行 Vol.350
世界の二大経済大国である米中の摩擦の長期化や英国のEU離脱、アルゼンチンの債務問題など、世界経済が不透明になっています。そうした中、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は7月のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行ない、近々行われる9月のFOMCでも高い確率で利下げを行うと市場では予想しています。欧州中央銀行も利下げの可能性を示唆しています。

そうした中、今月18、19日に日銀でも政策決定会合が行われます。この流れから行くと、利下げを行わざるをえないと考えられます。つまり、現状マイナス0.1%の短期金利やプラス0.2%からマイナス0.2%程度に誘導目標を置いている10年の長期金利(実質的にはプラスはない)のマイナス幅をさらに深掘りするということです。
しかし、これには、銀行からの大きな反発が予想されます。現状、約定金利が平均で0.9%程度しかない状況で、さらに金利を低下させることは、それでなくても厳しい銀行、とくに地方銀行の収益をさらに悪化させることになりかねないからです。預金で預かっているお金を貸出しに回しても、ほとんど利益がでず、その貸出先も十分にはありません。余ったお金で国債を買っても利回りはマイナス、最終的にそのお金を預かる日銀当座預金も、一部の金利はマイナス0.1%です。その金利をさらに下げるわけですから、銀行はたまったものではありません。

しかし、日銀には、金利を下げざるを得ない理由があります。それは「円高」阻止です。先にも述べたように、世界の主要中央銀行が金利を下げる中で、日銀だけが現状の金利を維持すると、円高に振れる可能性があります。実際、先日米ドル・円レートは一時104円台まで突っ込みました。円高は日本経済にとっては全体的にはマイナスです。160兆円もの資金を持つ私たちの年金を預かるGPIFが、外国債券などを買うことで外貨買い・円売りを行うことで円高を阻止しているという噂まであります。それが、FRBなどが利下げを行えば、円高傾向がさらに鮮明になる可能性があり、日銀はそれを是が非でも阻止したいのです。

日本経済も、4-6月の法人企業統計などから、企業業績や設備投資にかげりが見えてきました。その中での円高はきついのです。しかし、日銀の打つ手は限られています。前回の政策決定会合後の黒田総裁の談話の中では、景気の下振れに対しては、「躊躇なく」対応することが強調されていました。あまりにも何度も「躊躇なく」という言葉を使うことにも注目されましたが、「躊躇なく」を繰り返した裏には、取れる手立てがそれほどないことの表れでもあるようにも見えました。
18日、19日の政策決定会合では利下げの可能性が強いですが、市場の反応に注目です。

【小宮 一慶】