日本もワーキングホリデーをもっと積極的に活用すべし

2016.09.13発行 Vol.278
 先日、ある銀行系の機関誌のご依頼で、外国人の高度人材活用について対談を行いました。学者の方と、実際に研究開発の仕事で外国人を活用している中小企業の社長さんとの鼎談でしたが、その会社は別として、外国人の活用が十分でないということが学者の方の説明でよく分かりました。日本では、働く人が足りないことが多くの企業で深刻な問題となっていますが、一方で、高度人材だけでなく、外国人の活用があまりうまくいっていないというのが実情です。そのことに関して、ふと考える機会がありました。

 8月半ばに社外取締役をしている会社の関係で、オーストラリアのシドニーに出張しました。2泊5日の短い出張だったのですが、最終日に店舗視察を兼ねてシドニー郊外の繁華街を回りました。訪問先企業の日本人スタッフが、日本のうどんチェーン店でご飯を食べたいというので、お昼はそこで食べることにしました。メニューはもちろん英語で、カウンターでの注文に戸惑うかなと思ったのですが、それは全くの杞憂でした。レジに並び注文をした相手は、日本人の若者だったからです。店内で働くほとんどの人は日本人でした。

 オーストラリアでは、ワーキングホリデーの制度があり、日本人には気候の良いシドニーが人気とのことです。ワーキングホリデーとは、30歳(国によっては25歳)までの若者に、国どうしが協定を結んで、旅行をしながら働くことを許している制度です。若い人にとっては、働くことで旅費を稼ぎながら、海外で文化や言葉に触れることができるとても良い制度です。調べてみると、日本は16か国(含む、台湾)とワーキングホリデーの協定を結んでいます。ただ、この制度で海外から日本にやってくる若者は毎年1万人で、オーストラリアが全世界から受け入れる20万人と比べるととても少ないのが現状です。

 先にも述べたように、日本ではこのところ多くの職場で人手不足が深刻化しています。その一方で、不法労働の問題もあります。こうした問題をワーキングホリデー制度の充実がある程度解消するのではないかと思います。若者たちにとっては、日本のことを良く知ってもらう絶好の機会ですし、日本のファンにもなってもらえるでしょう。そして、例えばフレンチレストランならフランス人が、ブリティッシュトラッドの洋服屋さんならイギリス人の若者が働いていたら雰囲気があっていいのではないでしょうか。

 高度人材の活用にも大きな制限があるようですが、政府はワーキングホリデー制度の拡充とアピールをもっとやるべきではないかと思います。

【小宮 一慶】