日々是好日

2011.06.14発行 Vol.152
 大震災から3ヶ月が経ちました。鉱工業生産指数を見ると、震災のあった3月は前月比マイナス15ポイントという過去最大の落ち込みを記録しましたが、4月はプラス1ポイントと改善幅はわずかですが底を打ち、生産面においては回復が確認され、復調の兆しが見え始めました。

 私たちの生活も、電力不足の懸念から私が住む東京では駅や夜の道路などが暗いものの、なんとか平穏を取り戻した感じです。もちろん、今でも9万人近い人たちが避難生活をされていることを忘れてはなりません。そして、何よりも2万5千人近い方が亡くなったり、行方不明ということは決して忘れてしまってはいけないことです。

 「日々是好日」という言葉があります。禅の言葉だそうです。良い日も悪い日も、その状態に感謝し、足るを知って生きるということだそうです。そして、その毎日に感謝しながらも、与えられた状況のもとで、それがどんな状況であろうと、とにかく精一杯生きるということだと、私なりには解釈しています。

 私はもうずいぶん前から、寝る前に3年連用日記をつける習慣がありますが、その連用日記についている下敷きの枠外のところには「まことに日に新たに、日に日に新たに、又日に新たなれ」という『大学』の言葉が印刷されています。これも毎日を新たな気持ちで生きるということでしょうが、やはり一日一日があることに感謝して精一杯に生きようという意味ではないかと思っています。明日がないこともあるのです。

 とかく、人生は明日があると考えがちです。若い頃はとくに永遠に生きるような気になります。そうするとどうしても一日一日を大切に過ごすという気持ちが薄くなってきます。しかし、人生何が起こるか分かりません。そして、必ず死というものが訪れます。必ず終わりがあるのです。

 終わりは死だけではありません。定年や引退などで仕事を終えるとき、転職するとき、家族が就職や結婚のために家を出るとき、好きな人と別れるときなど、あらゆることに必ず終わりというものがあるのです。そして、終わりがあるからこそ、限られた残された時間を精一杯生きるということが大切なのだと私は思っています。わずかな時間にでも自分を完全燃焼させる。わずかな時間であるからこそ、別れのときまで精一杯の努力をする。好きな仕事や好きな人となら、仕事や相手を大切にし、精一杯の関わりを持つということが大切なのです。

 終わりがあるから、別れがあるから、適当に過ごすというのはすごくもったいないことだと思います。終わりがあるからこそ、それまでの残された時間を大切にするのです。震災で犠牲になられた方たちやそのご家族は大変悲しく無念の気持ちをお持ちだと思いますが、私たちも、限られた残された時間を過ごしているということを常に認識し、日々是好日、日々新たに、残された時間を、大切な仕事に、そして大切な人と精一杯過ごすことが大事だと思っています。

 今回も生意気なことを書きましたが、皆さんは、大切な仕事や大切な人を精一杯大切にしていますか。それらをなくす前に気がつきたいものですね。