新型コロナウイルスと日本経済

2020.01.28発行 Vol.359
新型コロナウイルスに関して、テレビや新聞のニュースが連日大きく報道していますが、今回のメルマガでは、その日本経済に及ぼす影響を考察します。短期的な影響、そして新型ウイルスの終息が長引いた場合の長期的な影響を考えなければなりません。もし、長引いた場合には、現在約15兆ドル、世界の名目GDPの2割程度を占める中国経済の世界経済、とくに日本やアジア経済に与える影響は小さくないからです。
まず、短期的な影響です。マスコミでは、今の春節期間での訪日客の減少を大々的に取り上げています。爆発的に売れているマスクなどは別として、ホテルやレストラン、観光バスなどのキャンセルが相次ぎ、百貨店やドラッグストアなどで売られる化粧品などにも影響が出ています。私も昨日大阪で毎日放送のテレビに出ましたが、テレビ局がある梅田から茶屋町あたりは、普段でも中国人観光客でにぎわう地域ですが、昨日は春節にもかかわらず、中国人観光客は少ない印象でした。
問題は、この状態がいつまで続くのかということです。逆に言えば、新型ウイルスをどこで封じ込められるかということですが、これが長引く場合には、日本経済にも大きな影響が出かねません。昨年の訪日外国人数は3188万人、そのうち959万人は中国からです。その消費額は約4兆8千億円で、その約3分の1が中国人によるものでした。新型ウイルスの影響が長く続くとなると、訪日中国人に依存するビジネスは大きな打撃を受けます。
日韓関係の悪化で、訪日韓国人客が激減(昨年は558万人)し、九州の観光地をはじめとして大きな打撃を受けていますが、それに中国人観光客の減少が重なると、かなりしんどくなるところが出ることが予想されます。
さらには、ウイルスの影響が長引けば、中国で活動する日本企業にも影響は深刻となります。日系のスーパー、小売店、百貨店はもちろん大きな影響を受けますが、さらには、自動車をはじめとする製造業にも製造と中国国内での販売の両面で影響が出て、業績に影響が出る企業が増えるでしょう。もちろん、中国経済自体も減速をまぬかれませんから、日本からの輸出にも影響が出ます。
もうひとつ考えなければいけないことは、世界第2位の経済大国となった中国経済の減速が与える影響です。昨年の米中摩擦でも分かったように、中国経済の減速は、日本や東南アジア経済に大きな影響を与えかねません。せっかく、米中摩擦が緩和の方向に向かいつつある中で、今回の新型ウイルスが、再びマイナス方向にアジア経済を動かす可能性は否定できません。
生活面からも、もちろんこの新型ウイルスが早く終息することを願うばかりですが、経済面でも、いつこの新型ウイルスが終息し、中国経済が元の状態に戻るかに、今後の日本経済やアジア経済はかかっていると言えるでしょう。

【小宮 一慶】
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