政府はもっと強力な経済対策を

2020.10.13発行 Vol.376
ウィズコロナの状況が長引き、多くの人や企業は新型コロナウイルスの状況下でも、何とか工夫をしながら、日常の生活を取り戻しつつあります。電車に乗っても窓を少し開けることや、オフィスでも出勤者の数を抑えることで、密になるのを防いでいます。私が好きな日曜昼のNHKののど自慢番組も人との接触を制限することで復活しています。私が月に2度ほど大阪の毎日放送で生出演している昼の情報番組「ちちんぷいぷい」も出演者の間に結構頑丈なアクリル板が入るようになってもう数か月が経とうとしています。(隣に座るハイヒールリンゴさんの声は聞こえますが、そのさらに向こうのナジャ・グランディーバさんの声は少し聞き取りにくくなり、さらにその向こうの方(ラグビーの大畑さんのことが多い)の声はかなり聞き取りづらくはなっています。)
こうして、日常生活が、以前と全く同じというわけではありませんが、表面的には元とそれほど変わらないように復活はしていますが、マクロ経済を分析するものとしては、この先の経済状況をとても心配しています。
もちろん、政府も手をこまぬいているわけではなく、4-6月で前年比で90%以上売り上げが落ち込んだ旅行業界に対しては「GoToトラベル」キャンペーンを実施したり、やはり大きな影響を受けている飲食業には「GoToイート」を導入しています。この取り組みが、これらのキャンペーンに関わる業界には、一時的な「慈雨」となることは間違いありません。
しかし、旅行業界で言えば、昨年3200万いたインバウンド客は99%の減少、また、旅行代理店や航空会社にとっては収益の大きな柱である海外渡航もほぼなくなっている現状を考えれば、旅行業界に対する支援も十分でないことは明らかです。ANAは給与の3割の削減やリストラ策を発表しています。HISやJTBは賞与の支給をしないということです。
そして、何よりも問題なのは、それ以外の業界も大きく傷んでいるということです。そのことをマスコミはほとんど報道していません。諸外国の経済も欧米をはじめとして日本よりも悪いところが多く、日本からの輸出も落ち込んでいます。それに関連して、製造業では、昨年まではあれだけ叫ばれていた人手不足は昔の話となり、一部の企業では人が余り始めています。雇用調整助成金のおかげで失業率の上昇は抑えられていますが、企業内失業が増加しており、また、雇調金だけでは企業存続が危うくなった企業も増えつつあります。
4-6月のGDP(国内総生産)を見ると、実額を表す「名目」が年額換算で約505兆円です。これは、アベノミクスが本格的に始まった2013年度(507兆円)とほぼ同じで、安倍政権でのピークより50兆円も落ちた数字です。インフレやデフレを調整した「実質」GDPの成長率もマイナス28%と空前の落ち込みです。名目GDPは給与の源泉ですから、働く人一人当たりの給与額を示す「現金給与総額」も4月以降、前年比マイナスが続いており、この先、さらに消費が冷え込む可能性があります。
政府が10万円ずつ国民に配ったこともあり、GoToトラベルなどは今のところ活況ですが、もともとの経済は弱いですから、そのお金を使い果たした時には勢いがなくなると考えられます。早急な次の経済対策を望みたいものです。
【小宮 一慶】
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