当たり前と有難い

2012.09.11発行 Vol.182
 皆さんも毎日忙しくお過ごしのことと思います。忙しいと目の前のことだけに目をとらわれがちで、毎日起こっていることを「当たり前」と思いがちです。そして、多くのことを当たり前と思っていると、それが本当はとても「有難い」ことだということを忘れがちです。当たり前と思っていることでも、本当は当たり前でなく、感謝の気持ちをもって過ごすと普通に思えることでも見え方が違ってくるものです。

 私は、毎年8月に愛知県内の顧問先さんの病院で1泊2日の人間ドックを受けます。6年前の検診でのCT検査で肺に小さな腫瘍が見つかり、その秋に右肺の一部を切除しました。幸いがん自体はごく初期のもので、その後もおかげさまで元気に毎日を過ごしています。

 がんが見つかるのがもう少し遅かった、あるいは、手術が遅ければ、私は今この原稿を書いていなかったかもしれません。あれ以来、親しい方には、病気の早期発見早期治療を薦めるようにしています。

 健康だけでなく、普段は当たり前と思っていることでも、本当は当たり前でないことがたくさんあります。お客さまがいてくださること、仕事があること、仕事ができること、会社があること、家族がいること、友人がいること、毎日食べるものに困らないこと、何でも自由に話せること、どこにでも行こうと思えば行けること、そして平和なこと・・・。私たちが当たり前と思っていることでも、他国や他の時代では当たり前でなかったことも少なくありません。そして他国や他の時代でなくても、毎日の生活の中で、なくしてしまってとても有難いものだったことに気づくものもたくさんあります。

 大切なことは、それらをなくす前に、当たり前でなく、有難いものだと思えるかどうかだと思います。そして、それらを大切にすることなのですが、それには努力が必要なことも忘れてはなりません。

 健康、人との良い関係、良い仕事、繁栄、平和・・・、それらは自然に維持されるものではないのです。そしてできればそれらを維持するだけでなく発展させられれば最高です。私たちは、はたしてそれを行っているでしょうか。私も含めて、謙虚に反省することが必要ですね。

 今年も人間ドックの結果は大きな問題はありませんでした。私はがんの手術をして以来、検診が大丈夫だったら「1年生きるパスポート」をもらったと思うようになりました。本当はこの先何年生きるか、ひょっとしたら何十年も生きるかもしれませんし、明日死ぬかもしれませんが、とにかく、1年は生きることが許されたと思うようになりました。ですから、できるだけ充実した1年を送るように心がけ、毎日を大切にしたいと思っています。そして、現状に満足することなく、感謝の気持ちをもって、少しでも世の中に貢献できればこれ以上うれしいことはありません。