引っ越して思うこと

2012.06.26発行 Vol.177
 8年3カ月ぶりに事務所を引っ越しました。96年に3人で始めた最初のお茶の水の事務所が3年、次の麹町の事務所が5年、さらにこの前の麹町の事務所に8年余りいました。お客さまのおかげで、前の事務所に比べ6割ほど面積の広いところ引っ越せましたが、この8年間には、日本経済や私を取り巻く環境にも大きな変化がありました。引越しの荷物を整理しながらいろいろなことを考えました。

 この間(2004年から2012年)の日本経済は、前半は97年と03年の2度目の金融危機からようやく立ち直り、2002年から2007年にかけての戦後最長の経済成長を記録した頃です。もちろん成長率が1%程度と低かったため、景気拡大の実感はありませんでしたが、急成長する中国経済や、バブルの米国経済、通貨統合で拡大した欧州経済に引っ張られるかたちで日本経済も問題を抱えながらも、今から考えると比較的順調に推移していた時期です。主に小泉政権の時期です。

 後半の時期は、07年のサブプライム危機の発生(パリバショック)からリーマンショック、世界同時不況へと続く時期で、各国とも財政、金融政策をフル稼働させて危機に対応しましたが、財政赤字の増大が引き金となり、現在の欧州危機が起こったという時期です。言いかえれば、2000年代前半の欧米での実力以上の経済の拡大、いわば「バブル」のツケを支払っている時期と言えるでしょう。しばらくは、世界経済は安定しない時期が続くと考えられます。そして、この時期、日本も景気低迷に苦しんできたわけですが、その中で、東日本大震災や原発事故が発生するわけです。そして、政権が一向に安定しなかったのもこの時期です。

 一方、私にもいろんなことがありました。おかげさまで仕事のほうは、会員企業さんが増えたり、何冊かベストセラーが出て比較的順調でしたが、06年に右肺の3分の1を取る手術をしました。子どもたちも大きくなり、上の子は就職して家を出ました。それだけ歳をとったということですね。会社のほうは、スタッフの入れ替わりもありましたが、このところは安定しており、現在では私を含めて9人でなんとかやっています。

 8年も同じところにいると、荷物が本当に増えます。つい、この先使うだろうと思って取っておいた資料や、本を書いたときに集めた資料などを、この引越しを気にそれこそ山のように捨てました。荷物を整理しているときには、後継ゼミやコンサルタント養成講座の卒業生、明大で4年間教えていた当時の学生さんから戴いた記念の品物や写真なども出てきて、とても懐かしい気もしました。もちろん、こちらは大切に取ってあります。

 20年ほど前に、コンサルタントの船井幸雄さんのお部屋をお邪魔した時に、先生の机の上には書類など何も置かれていなかったのを不思議に思った私が、そのことを尋ねると、「直感で判断するんです」とおっしゃっていたのを思い出します。その当時の私にはその意味は十分には分かりませんでしたが、直感で判断できるようになるまで、修練を重ねるということだと今では思っています。

 この先、さらに頑張って、なれる最高の自分、なれる最高の会社を作っていこうと思っています。前の事務所からすぐ近くですから、お近くにお越しの際はお寄りくださいね。