寛容の心を養いたい

2015.11.24発行 Vol.259
 今年も沖縄県恩納村のムーンビーチのホテルで講演をしました。経営コンサルタントの大先輩の一倉定先生が亡くなられてもう15年以上になりますが、一倉先生のお弟子さんたちが、先生と以前に合宿していたムーンビーチに集まり、毎年この時期に合宿研修をしているのです。私も、その合宿に呼ばれるようになりもう12回目ですが、毎年、親しい経営者たちにお会いすることをとても楽しみにしています。また、都会を離れ、海の近くにいて普段と違うリズムで過ごしていると結構リフレッシュできます。亡くなられて15年以上経っても、多くの経営者が集まるのを見ていると、一倉先生のすごさが分かります。

 今年、ホテルの朝食会場で思ったことがありました。昨年もそうだったと思うのですが、障がいを持ったお子さんたちの団体が、お母さんなどに付き添われて、このホテルに滞在し、たまたま朝食会場で一緒になったのです。中高生ぐらいの年齢の子どもたちですが、気を遣ってか、会場の一番奥の席で、団体で食事を取っていました。中には奇声を発する子がいたり、バイキングだったのですが、食べ物を取るときに、不規則な動きをしたり、動きがとてもゆっくりな子もいました。

 3連休にかかっていたので、結構朝食会場は混雑していました。中国人はじめ、外国人もたくさんいたので、私はトラブルが起きなければいいなと思っていましたが、それは杞憂でした。皆さん、子どもたちを特別扱いするわけではありませんが、それでも、少し場所をあけたり、食べ物を取りやすくしてあげたりで、私もホッとしました。「寛容」や思いやりの気持ちがあれば、どんな場でも和みます。

 リゾート地で、宿泊客もリラックスしていたということもありますが、朝食会場全体に和やかな空気が流れていたと思います。ホテルの滞在客も楽しみを求めて宿泊していると思いますが、障がいを持った子供たちやお母さんたちもやはり楽しみに来ているのです。お互いが思いやりの心を持つことで、雰囲気が大きく変わるということを感じました。

 都会で仕事をしていると、私も含めて、慌ただしく、余裕がなくなり、寛容の気持ちを失いがちです。しかし、寛容という気持ちを持たなければ、社会は成り立ちません。とくに弱者に対する寛容は絶対に必要です。怠慢者にまで寛容の気持ちを持つ必要はないと思いますが、弱者を守るためにも、社会全体が円滑に進むためにも、寛容の気持ちが必要でしょう。松下幸之助さんが、『道をひらく』の中で「寛容の心を養いたい」と書いておられますが、その通りだと思います。

 最後に、障がいを持ったお子さんたちに付き添っておられたすべてのお母さんたちが、本当に活き活きとしておられとてもきれいに見えたのは、私だけではなかったと思います。多くの人がいて成り立つ社会で、社会全体としても、個人としても考えないといけないことはたくさんありますね。

【小宮 一慶】