地位のあるものほど気配りをするべき

2013.01.22発行 Vol.191
 フェイスブックにも少し書いた話ですが、私の会社の近くに、有名な家元があります。先日、新春の初稽古があったのでしょうか、その家元の建物の前には、運転手さん付きの黒塗りの高級車が、歩道をふさいで何台も止まっていました。一方通行の細い道で、それにもかかわらず結構交通量があるので、歩く人にはとても迷惑な話です。近くにはコインパーキングがたくさんあります。

  その少し前には、東京としては大雪が降りました。その初稽古に備えてでしょうか、家の中にあった雪を、外の道路に積み上げていましたが、これも一部歩道をふさいで積み上げられていました。

  私はこれらの光景を見て、とても寂しい気分になりました。運転手さん付きの車に乗れる人は、それほどお金に困ってはいないでしょうから、コインパーキングに車を入れることくらいはできるはずです。通行量の多い、狭い道に止めておけば通行人に迷惑がかかるというくらいのことは普通の人間なら分かるはずです。運転手を乗せておけば、駐車違反にはなりませんが、それは法律違反にはならないというだけであって、モラル上の問題は残ります。ピーター・ドラッカーは「法律を守ることは、企業が存在を許される条件」と言っていますが、それは法律は、社会が平和に暮らしていくための「最低限」のルールだからで、法律を守ってさえいれば、あとは、何をしても良いというものではありません。それ以上のモラルや倫理観が必要なのです。少なくとも、通行人に多少の気配りをするくらいの心の豊かさが必要です。

  一方、家元の建物から雪が無くなれば、どこかへ持っていったはずですから、その家の人間は、「家の雪が無くなって良かった」と単純に考えるのではなく、その雪がどこに持って行かれたのか、ひょっとして近隣に迷惑をかけているのではないかぐらいの気配りができないものかと思います。

  しかし、私たちも注意しなければなりません。他人のふりを見て、自分たちを正さなければなりません。「反面教師」というのは、そのために存在しているのです。とかく、地位やお金ができると、人は傲慢になるものです。「謙虚さを失ったリーダーほどみっともないものはない」と言った人がいますが、その通りです。

  私のお付き合いする人の多くは、企業経営者か幹部ですが、少し成功するとどうしても態度が大きくなりがちです。松下幸之助さんは、「素直」ということを最も大切にされていましたが、素直さは謙虚さにつながります。良い時には傲慢にならず、悪い時にも卑屈にならない。これが本当の素直さ、謙虚さだと思います。これは私自身も常に反省しなければならないことだと思っています。