君に幸あれ

2012.04.10発行 Vol.172
 私は普段は朝6時45分頃に自宅を出て会社に向かいます。結構早い時間帯ですが、普段はこの時間だと新聞配達の人に会うことはありません。彼らはいつももっと早い時間帯に配っているからです。しかし、3月末から4月の今の時期くらいには最寄り駅に向かう途中で新聞配達の人に会うことも少なくありません。新人さんが入ってくるからです。最初は先輩と一緒に、そして何日かすると自分で配達先のメモを見ながら配っていきますが、慣れないので、どうしても時間がかかってしまうのです。

 私の家の近くで新聞を配達してくれているのは、ほとんどが若い人です。新人さんは大学や専門学校に入学したところの人たちでしょう。自分の力で人生を切り開こうとする姿勢には頭が下がります。

 一方、日本の経済力は残念ながら伸びてはいません。現在の名目GDPは約470兆円ですが、これは1991年とほぼ同じ水準です。名目GDPは給与の源泉ですから、給与も伸びていません。このところはむしろ減少気味です。また、高齢化の進展、対名目GDP比で主要国中最悪の財政赤字のさらなる増大、国内産業の空洞化の進展など、このままでは、「失われた20年」が「失われた40年」になりかねない状況です。そして、その負担は、今の若い人たちに重くのしかかっていくこととなります。

 先ほど、高齢化の進展ということを書きましたが、団塊の世代の方たちはひと学年で240万人程度いらっしゃるのに対し、今年成人式をむかえた人は122万人、昨年生まれた子供たちは106万人という状況で、ますます減っていく若い人たちにその負担は重くのしかかるのです。そして、経済状況の悪化は、さらに少子化傾向を強めるという悪循環となります。

 さらには、生産年齢人口も減りますから、強力な産業政策などを行い生産性を高めない限り、財政支出がさらに増大し、財政赤字が拡大するとともに、空洞化も加速するという、経済がさらに厳しくなる状況となります。

 先日、家の近くを歩いていたら、若い人に声をかけられました。区役所がどこにあるかを尋ねられたのです。区役所は遠いので近くの出張所を教えてあげようと少し一緒に歩いたら、地方から出てきたばかりの大学の新入生だと言います。屈託のない表情に、こちらの気分も良くなりましたが、新聞配達の若い人たちもこの青年にも幸多かれと願わずにはいられません。ただ、わが国の経済の現状を考えてみると、よほど強力な政策を打ち出さない限り、決して未来は明るくはありません。私たちがそれぞれの仕事を今以上にがんばるとともに、政治にもっと関心を持って、より良い政権を選ぶことが大切だと痛感しています。