前向きに生きる

2011.05.24発行 Vol.151
 大震災から2ヶ月半が経とうとしていますが、被災された方、さらには原発被害を受けておられる方はまだまだ大変な時期を過ごしておられると思います。事業再開の目途も立たない事業所も少なくないでしょうし、仮設住宅も不足、そして、原発問題は解決の目途もほとんど立っていませんが、仕事を失ったままの方も少なくなく、仕事がなければ長期的な生活の安定は望めません。

 また、直接の被害を受けておられる方たちだけでなく、部品供給が間に合わず操業度が大きく落ちた企業や電力不足対応を迫られる企業など、間接的な被害も膨大です。サプライチェーンに組み込まれている企業だけでなく、それらの企業にサービスやソフトウエア、部品以外の資材などを提供している企業でも、売上げが大きく落ち込んでいるところもあります。一度取引が縮小すると、それを元に戻すのはなかなか難しいものです。

 そして、別に「被害」を受けている人たちがいます。大震災の被害が甚大だったためにそれほど注目されてはいませんが、就職活動を行っている学生さんたちです。皆さんはいまだに就活を行っているダークスーツを着た学生さんたちを街角でたくさん見かけないですか。私は、今日は日中を名古屋で過ごしましたが、名古屋駅や地下鉄の中で就活をしている学生さんたちを多く見かけました。4月から就活が始まりますが、今時点での内定決定率は過去最低だそうです。

 震災の影響などもあり企業業績が先行き不透明ということもありますが、事情はそれだけではありません。震災により、採用活動を後ろ倒ししている企業が多く出たためです。昨年度は業績向上した企業も多く、昨年より新卒の採用状況は良いはずですが、震災で採用どころではなくなった企業が採用活動を遅らせているのです。

 就活学生にとって厄介なのは、4月1日から採用活動を始めた会社がある一方、5月、それも初旬から始めたところだけなく、下旬から始まるところもあり、また、大手メーカーの一部は6月から始めるところもあります。

 最終的に内定数が増えれば良いではないかと思われる方もいるかもしれませんが、学生の不安感は小さくなく、何よりも、内定が出る時期のずれにより、人生のこの先が大きく変わることにもなりかねません。

 私は、若い方たちにお話しするときには、どんなときにでも運命を受け入れて前向きに過ごせば、必ずチャンスが生まれるよ、と話しています。陽はまた昇ることを信じるしかありません。チャンスの対の言葉は「準備」です。大変な時期ですが、前向きに準備をしておくことがどんなときにも必要だと思って学生さんは過ごして欲しいと思います。

 今回の震災で運命が変わったのは就活の学生さんたちだけではありません。多くの方が亡くなり、いまだに行方不明の方も1万名近くおられます。人生が変わった方も少なくないでしょう。そして、震災だけでなく、人生いろんなことが起こるものです。こういった際に、起きていることを前向きに受け止めるということが大切だと私は思っています。

 もちろん、耐えられない苦しさや悲しさもあります。しかし、それすらも乗り越えていくことが、亡くなられた方々への最大の供養となりますし、中長期的にも厳しいわが国の状況を改善していくための私たちの使命ではないでしょうか。