今後の政局と経済運営

2017.08.08発行 Vol.300
8月3日に安倍政権が内閣を改造しました。加計問題や稲田防衛相の発言などで支持率が急落した中での内閣改造でしたが、各報道機関の改造後の支持率調査では、「少し」回復したというところでしょう。今後の政権運営を国民も慎重に見ており、それによって支持率はこの先上下することになると思います。

安倍首相は改造内閣発足に際し、「経済最優先」という発言をしています。これは、第二次安倍内閣が2012年12月の総選挙に勝利して発足した直後から始まった「アベノミクス」により円安・株高が進み、支持率上昇の大きなきっかけを作ったことを国民に想起させたいということもあるでしょう。

さらには、これまでも首相は何度か「経済最優先」という発言をしていますが、うがった見方をすれば、その時はだいたい「政治優先、政局優先」のことが多かったと思います。今回は支持率急落の中での立て直しを図らなければなりませんが、やはり「政局最優先」ではないでしょうか。

政治家というのは、本能的に「選ばれなければ何もできない」という恐怖心を常に持っています。政権としては支持率をいかに上げるかということがとても大事になります。そうした中で、最も注目されるのは、衆議院の解散の時期でしょう。民進党の支持率が極端に低迷する中、民進党の代表戦が行われます。支持率の大きな回復は難しいでしょうが、蓮舫氏が代表をしていた時よりはましになる可能性はあります。

一方、安倍政権・自民党にとって最大の脅威は「都民ファースト」です。「都民ファースト」が「日本ファースト」となり、都内、そして、埼玉、千葉、神奈川などの一部地域で候補者を立てれば、都議選の延長戦的に考えれば、かなりの議席を獲得する可能性があります。都議選では公明党は自民党から決別し、都民ファーストと連携しましたが、国政レベルでは自民党と連立政権を組んでおり、このねじれを日本ファーストはついてくる可能性もありますし、民進党の今後の支持率次第では、雪崩を打って民進党から日本ファーストに鞍替えする議員や候補者も出てくるでしょう。「選ばれなければ何もできない」ですからね。日本ファーストの勢いがどこまで続くかにもよりますが、いずれにしても、首相としては、「日本ファースト」に十分な準備時間を与えたくないことは明らかです。

一方、経済に目を転じれば、企業業績は総じて良いものの、少し陰りも出始めています。インフレ率が0.4%程度まで上がる中、実質賃金にも不安が見えます。また、前回のメルマガでも指摘したように、日銀の政策にも限界が見え、なおかつ「出口」が全く見えない状況です。そうした意味では、東京オリンピックへの期待感とインバウンドだけでは景気の今後は心もとないのは明らかで、そんな中、成長戦略やそれと大きくかかわる経済の長期的展望もほとんど見えていません。

今後は安倍内閣への支持率次第で政局が大きく動くと思われますが、「政局最優先」より、本当の意味での「経済最優先」を行ってもらいたいものです。

【小宮 一慶】