人は死ぬと、自分が愛した人の心の中に生き続ける

2012.11.27発行 Vol.187
 このお話は、数日前に私のフェイスブックにも書いたものですが、もう少し詳しく書きたくなったので、メルマガでも書くことにしました。

 先週末、沖縄の恩納村で、一倉OB研修会で3時間ほどの講演をしました。この会は経営コンサルタントの故一倉定先生のゼミに参加されていた方たちが、先生が亡くなった後も、当時研修を行っていた恩納村のホテルで、年に一度4日間ほどの研修を自主的に続けているものです。

 私は、もう20年近く前に、一倉先生の2日間のセミナーを一度だけ受けたことがありましたが、先生は怖い方という評判でした。皇居前のパレスホテルで行われた講演会では、先生の話に引き込まれ、感心することもとても多かったのですが、私は経営コンサルタントの原点をそこで学んだような気がします。

 一倉先生は名言をおっしゃる方で、中でも私は、「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも全部自分のせいだと思え」というのが好きです。社長として成功したければ、何でも自分の責任だと思うくらいでないとダメだということです。先生は、社長の姿勢にも厳しく、ダメな会社というのは「社長が部長の仕事をし、部長は課長の仕事をし、課長は係長の、係長は平社員の仕事をしている。そして、平社員は会社の将来を憂えている」という言葉がありますが、社長は社長固有の経営という仕事をしなければならない、部下の仕事に逃げ込んではいけないということです。

 先生が亡くなられてからも、先ほどの研修会は13年続いています。研修に参加の皆さんはとても熱心で、自社の経営の実践に活かすべく、一倉先生の考え方を反芻しながら、前向きに経営の勉強をされているのです。

 私は、この研修会でお話をさせていただいて、もう10年目になりますが、亡くなられてこれだけ長い間、有志の方たちにより研修会が続くというのは、さすがにすごいことだといつも感心しています。

 私の師匠の、曹洞宗円福寺の故藤本幸邦老師は、「人は死ぬと、その人が愛した人の心の中で生き続ける」と私たちに教えてくださいました。自分を愛した人の心の中でも生き続けるでしょうが、自分が愛した人の心の中でも生き続けるということです。私は、このことは、アッシジの聖フランシスコの「愛される人よりも愛する人に」なることを願うことに通じると思っています。

 一倉先生は、先ほども述べたように、とても厳しい経営コンサルタントとして評判でしたが、その厳しさの中にも、経営者たちに良い経営者となって欲しいという愛情がたくさんあったのだと思います。ですから、多くの経営者の心の中に今でも生き続けておられるのです。沖縄での研修会に参加して、私もそうありたいと心から思いました。