中国人爆買いの光と影

2015.10.13発行 Vol.256
 中国の国慶節の休暇が終わりましたが、国慶節の期間中、東京の繁華街ではい
たるところで大きなスーツケースを持った中国人観光客を見かけました。ここ数
年は、山手線や地下鉄車内でも大きなスーツケースを持った中国人を見かけるこ
とが多くなりましたが、「爆買い」という言葉が定着するほど、東京や大阪など
の繁華街では、いわば「定番」の光景となっています。以前は、中国経済の急拡
大にともなう資源や食糧の「爆食」が問題となりましたが、そちらは影をひそめ、
そのことが資源国やアジア新興国の経済減速にもつながっているものの、日本で
は「爆買い」が良い意味でも悪い意味でも経済に影響を与え続けています。

 良い面から言うと、長らく業績が低迷していた百貨店の売上げが、中国人によ
って底支えされていることです。高級品が飛ぶように売れ、都内の百貨店では、
専用の免税カウンターを設置したり、高級時計の売り場を増設しているところも
少なくありません。また、家電量販店や一部のドラッグストアーでも、中国人観
光客の売上げに大きく依存しているところもあります。私は有楽町の家電量販店、
ビックカメラの中を、地下鉄への乗り換えのためによく通りますが、カメラ売り
場では、いつも多くの中国人がいます。接客ももちろん、日本に住んでいる中国
人です。ドラッグストアーでは、粉ミルクとおむつが人気だということです。化
粧品も人気で、いずれにしても家電はじめ日本製に対する、信頼はとても高いと
のことです。一方、爆買いされた商品の一部は、中国で転売されているとのこと
で、内外価格差を利用した商売をしている人もいるとのことです。

 ホテルも大きな恩恵を受けています。都内や大阪のホテルの稼働率は軒並み上
昇です。しかし、ホテルに関して言えば、私は年に100泊くらいはホテルに泊
まりますので、宿泊費の高騰に困っています。先日も、以前なら1泊1万円台後
半で泊まれた大阪のホテルが、6万円台ということで、もちろん泊まりませんで
したが、こんなことが、このところ頻発しています。中国のお正月にあたる春節
の頃だと、アパホテルでも2万円程度したといいます。しかし、これでは、日本
のビジネスマンはこれまでのように、出張をすることができません。出来るだけ
日帰りにしてしまうでしょう。また、一部の中国人旅行客のマナーの悪さも問題
になっています。騒ぐのはもとより、ホテルや旅館の備品を持って帰るのです。
ある旅館では水槽に入っていた生きた錦鯉を持って行こうとしたと、先日、旅行
関係の方から聞きました。

 爆買いは、商品だけでなく、日本の不動産でも起こっています。都内の新築マ
ンションなどの中には、半分が中国人に買われているものまであると聞きます。
それが、マンション価格を高くし、日本人が買いにくくなっている面もあります。
また、マンションにはゲストルームがあるところが多いのですが、そのゲスト
ルームを中国人が借り続けて、それを別の中国人にホテル代わりに貸すという商
売をし、他の住民からひんしゅくを買っているという話も聞きます。

 大阪のテレビの情報番組では、中国人観光客が捨てていく箱のせいで関西空港
のごみ箱の周りなどが、とても汚くなり、ゴミ収集の人数を増やしているという
報道もありました。

 また、もう少しマクロ的に見れば、一部商品は中国人の爆買いのために値段が
上がっており、それでなくとも給与の上がり方が鈍い日本の消費者には迷惑とな
っている面もあります。日本政府は、中国人のマナーの悪さのみならず、先ほど
のホテルの問題やマクロ経済の問題を放置するのでしょうか。

 いずれにしても、中国経済の減速が伝えられ、それが、長期的に続くという予
測もあります。それが、この先、日本経済のみならず、日本人の生活にどのよう
な影響を与えるのか、日本企業や政府がどう対応するかが注目点です。