ルールを変えることも大切

2013.03.26発行 Vol.195
 先日、外交官OBの方の講演を聞く機会がありました。講演後、私が「日本の経済の停滞から抜け出すには何が必要ですか?」と質問したら、即座に多くの国を経験されたこの外交官の方は「税制を変えること、それも法人税を軽減することです」とおっしゃいました。

 高い法人税が、日本企業の活力をそぎ、海外企業の日本進出を抑える要因になっていることは間違いありません。財政事情が悪い中、税収を確保する必要があることは言うまでもありませんが、税制が経済を悪くし、それによりさらに税収が減るという悪循環に陥っていることも私たちは認識しておく必要があります。

 そして、7割の企業は、法人税を支払っていないと言います。税法上の赤字になっているからです。費用(正確には損金)を多く計上すれば、赤字になりますから、税金を支払う必要はないのです。

 一方、当社では配当をしています。中小企業の配当は、もらった側(株主)にとっては、通常の所得と合算され課税されます。配当は企業が税金を払った後でしか支払えませんから、配当支払い前にも、法人税が課税されています。つまり、法人税と所得税が二重課税されています。上場企業の配当には分離課税が認められているので、二重課税の問題はそれほどありません。

 二重課税を回避するために、少なくない会社では、オーナー経営者の給料を上げ、その代り配当をしないということをしています。給料は損金となるからです。当社でもそれをやっていたことがありましたが、このところ私はそれは経営上おかしいと思っています。給与は、働きや責任に対する対価で、配当は投入した資本に対する対価だからです。それははっきりと分けられるべきものです。配当を給与で取ると、給与体系もゆがみますし、経営にも影響が出ます。キャッシュフローを考えれば、オーナー経営者が配当で受け取るのは損ですが、経営のことを考えれば、給与と配当は分けるべきだと考えているのです。

 さきほど、7割の企業が法人税を支払っていないと書きましたが、この二重課税も影響しているのではないでしょうか?中小企業に対する配当の二重課税を止めれば、配当を取るために、利益を出し、ということは法人税を支払う会社も増えるのではないかと思います。

 日本人は、決められたことを守る国民だと思います。枠組みが決められたら、その枠組みが良いか悪いかという判断をすることをせず、それに従っていることが良いことだという風潮があるように私には思えます。もちろん、決められたルールは守らなければなりませんが、そのルールが不合理な場合にはそれを変えるように働きかけることも必要でしょう。

 来年4月からは、消費税増税も始まり、その後の景気後退も心配です。働く人の所得税も不平等です。サラリーマンは所得が100%捕捉されていますが、そうでない人たちも多数います。私たちは、税制などのルールを「与えられたもの」として当然のことと考えるのではなく、あるべき姿はどうなのかということも考え、それを政治に反映していくことを考えなければならないと思います。