リーダーが使うべき3つの時間と現政権

2018.04.24発行 Vol.317
私はセミナーなどで、経営者に対して「リーダーが使うべき3つの時間」というお話をときどきします。それは「①トラブル対応、②現事業維持、③未来」のためにそれぞれ使う時間のことです。

お分かりのように「トラブル対応の時間」とは、社内で問題が発生したことに対して費やす時間のことです。クレームや事故、製造設備の故障、流通の不備など、トラブルが生じたときに割かれる時間です。もちろんトラブルに対応しなければ、さらに状況が悪化することもありますし、とくにお客さまに対しては、迅速にかつ真摯に対応しなければならないことは言うまでもありません。しかし、トラブルに対応すると言っても、ほとんどの場合は、ダメな状態が普通になる程度です。お客さまからのクレームに対して本当に真摯に対応すると、ファンとなっていただけることがありますが、それでも他のトラブルは、せいぜい普通に戻るための努力でしかありません。

次の「現事業維持のための時間」は、現在のお客さま訪問や社内のミーティング、現場の視察など、現在の事業を維持していくための時間です。これももちろん大切な時間ですが、それだけでは、現事業を維持するのが精いっぱい、場合によってはじり貧となるだけです。

「未来のための時間」は組織の未来のために使う時間です。新しいお客さまを訪問するなど機会追及に使う時間、新規事業の構想を練ったりそれを実行に移すために使う時間、はたまた、有能な人材獲得や自身の経営の勉強などに使う時間です。そういう時間なしに、組織の未来はありません。とくに、この「未来のための時間」は、部下がそのために時間を使ってくれることはまずないと言えます。

これは経営者でなくても個人でも同じで、自身の時間を上の3つのどれに使っているかを考えてみることも大切です。病気などのトラブル対応の時間なのか、今の状況を維持するための時間なのか、それとも将来の飛躍や老後の安定した生活などのために使っている時間なのかです。

翻って、現在の政権の状況を見てみると、森友問題、加計問題、自衛隊の日報問題など、政府はトラブル対応に多くの時間を費やしています。森友問題など、もう1年以上も議論が続いています。もちろん、各省庁はそれだけに時間を使っているということはありませんが、それでも、現事業維持が精いっぱいというところで、政権与党や野党を含めた国会は、トラブル対応、その追求で大部分の時間を使っているように私には思えます。

少子高齢化が益々進み、人口減少が始まり、さらには巨額の財政赤字を抱えるこの国において、本来ならばもっと積極的に成長戦略などの「未来のための時間」が費やされるべきなのに、ほとんどそれらの議論は聞こえてきません。このままでは、さらに状況は悪化するでしょう。短期的には、政権が代わることでしかこの局面は打破できないと思いますが、それでもしっかりとした後継がいるわけでもなく、とても心もとないと感じているのは私だけでしょうか。

【小宮 一慶】