スカイマーク破綻に思う

2015.02.10発行 Vol.240
 スカイマークが民事再生法を申請し、実質的に破綻しました。昨年夏頃にエアバスの超大型機A380の購入契約が解除されたあたりから破綻の懸念が取りざたされていましたが、とうとう破綻という結果となりました。何が問題だったのでしょうか。私は、経営陣の意思決定の問題だというふうに考えています。

 たしかに、同社は、2012年あたりの業績をピークに、LCCの台頭などから業績が下降気味となり、最近では営業利益段階で赤字となっていました。しかし、財務的には無借金経営を続けていました。銀行などからの借入れが皆無だったのです。破綻した段階でも借入れはありませんでした。破綻時の負債、約700億円の大半は、既存の航空機のリース料や空港の着陸料だったと言います。

 航空業界は多額の資金が必要で、航空機の値段が通常は1機あたり100億円から数百億円します。機材をそろえるだけでも相当のお金がかかる「金食い虫」の業種です。その金食い虫業界で、スカイマークはなぜ無借金でいられたのかというと、それは、機材をリースしていたからです。少し専門的になりますが、同社の貸借対照表の資産の部にも航空機の資産は100億円以下しかありません。おそらく部品の一部を所有していただけで、機材は「オペレーティングリース」というかたちで、貸借対照表にも載らない形態でのリースをしていたと考えられます。ですから、同社の総資産は800億円程度しかありませんでした。

 小さな資産規模で、無借金で自己資本比率も高いという状況が続いていました。このところは赤字でしたが、それでも不採算路線を縮小し効率を上げたり、JALやANAとコードシェアをするなどすれば、何とか乗り越えられた可能性はあります。少なくともこんなに早く破綻はしなかったはずです。

 それがなぜ、破綻したかというと、A380を6機も購入する契約をしたからです。その価格は約1900億円と言います。それを契約解除することで700億円程度の違約金をエアバス社から請求される可能性が出たのです。このような状況では、銀行もお金を貸すのをためらいます。

 おそらくスカイマークは、A380も当初はこれまでと同様にリースしようとしたと考えられます。しかし、超大型機のA380は不人気機種で、リース会社が転売できないためにリース契約を渋ったと言います。そこでスカイマークは6機購入という決定をしてしまったのです。これが命取りになったのです。

 資産800億円程度の会社が1900億円もの資産を一気に増やすには無理があります。契約当時は黒字経営でしたが、それでもその当時の利益の20倍近い資産を一気に購入するには無理があります。リースができないと分かった時点で、購入を断念すべきだったのです。万一購入するとしても、1機か2機程度に抑えるべきで、その数でも危ない橋を渡っていると思います。

 オーナー経営者が判断したのだと思いますが、周りの役員たちはその「暴挙」を止められなかったのでしょうか。私も社外役員をしている会社がいくつかありますが、私なら絶対にその判断に反対したと思います。

 私は仕事柄、オーナー経営者たちと毎日のように会っていますが、どんな立派な方でも間違いを犯すことがあります。それを止めるのが、周りにいる人たちの役割です。今回の倒産劇で、改めて意思決定の恐ろしさと、私を含めてどんな人も間違うことがあることを実感しました。