スイス、パリで学んだこと

2013.07.09発行 Vol.202
 毎年行っているお客さまとの海外ツアーを今年は6月下旬に行いました。アルプスを訪問するのにベストシーズンだということからです。10数名のお客さまとご一緒しましたが、とても勉強になった上に、楽しい旅でした。

 パリ経由でジュネーブに行き、最初に訪れたのはレマン湖のほとりにあるローザンヌ近郊のワイナリーです。ローザンヌは国際オリンピック委員会の本部のある町です。オリンピック委員会本部もレマン湖のすぐほとりにあります。

 私たちが訪れたワイナリーは、同行してくれた会員企業の燕山荘の赤沼健至社長のスイス人の友人が経営しているところで、14世紀から続くスイスでも有数の古いワイナリーです。石灰岩の地質の斜面にブドウ畑が広がり、レマン湖に向かって大きな視界の開けた本当に美しい場所でした。スイスワインというとフランスに比べてあまりなじみがありませんが、抜群の景色の中、良質のワインを堪能しながら、昼食を楽しみました。

 その後は、ツェルマットに移動しました。マッターホルンの玄関口です。赤沼さんの旧知でスイス在住40年の神田さんという地元では有名なガイドさんが同行してくれました。スイスでは観光資源を守るために、ツェルマットへの一般のバスや乗用車の乗り入れは禁止されており、近郊から電車に乗って向かいます。観光立国のスイスでは、観光資源を守るためのさまざまな取り組みがなされています。

 翌日、マッターホルンが良く見える標高3000メートル付近まで登山電車で登りました。かなり高い山の上まで交通網が通じていることも、多くの観光客を呼べる要因になっています。

 私たちが訪れた日は、お天気が本当に良く、360度のパノラマで、マッターホルンやモンテローザの山々が視界の中に入り、皆さんとても感激されていました。一旦、ツェルマットに戻り、今度はロープウェイでやはり3000メートル近くまで上がり、屋外のレストランで絶景を見ながらスイスの地元料理(ポテトを焼いたものとソーセージ、どちらも元々は冬場の保存食)を食べましたが、気分が爽快になりました。その後、山の中腹まで、4時間近くかけて下りましたが、私も含め普段山歩きをしていない人間には、少しきつかったですが、それでも赤沼さんや神田さんのガイドのおかげで自然を満喫できました。翌日の早朝見た、朝日を浴びてオレンジに輝くマッターホルンは一生忘れない光景だと思います。

 その後、フランスのシャモニーから、今度は3800メートルの高さまで、ロープウェイで上がり、モンブランを観ようとしましたが、この日は霧が深く、ほんのわずかな時間だけしか見ることができませんでした。しかし、翌朝は、シャモニーのホテルからモンブランがきれいに見えて、こちらも感動するくらいの美しさでした。

 ジュネーブ経由、TGV(新幹線)でパリに移動し、JETROや監査法人のPwCなどでレクチャーを受け、フランスの政治や経済情勢、さらには、フランスでの雇用慣行やフランス企業での経営経験などをお聞きし、こちらもとても勉強になりました。

 経済運営がうまくいっていないことに加え、緊縮財政や増税もあり、オランド政権の支持率は30%を切っています。アベノミクスが奏功し、ここまでのところ景気が上向きで支持率の高い日本と、全く違う状況です。やはり、経済状況が政権への支持率を大きく左右するということを感じざるをえません。

 フランスでは、100の給与に対し、税金を除く社会保険料を個人が25支払い、雇用者が50支払うという制度になっています。(つまり、個人は手取り75で、税金はその後、各人が確定申告します。)雇用者は給与の150%を支払う必要があります。また、解雇も難しく、解雇に際しては、通常は2年分の給与を支払う必要があるとのことです。

 このことが、現在のように景気が悪い状態では、新規雇用、とくに若年層の採用を抑制し、フランス全体でも10%を超える失業率の中、若年層では20%もの失業率となっています。

 欧州の景気後退は、とくに南欧では深刻な状況となっています。それでも、フランスでは、年間5週間の有給休暇を使って、夏のバカンスを大勢の人が楽しむということです。世界中さまざまな国、さまざまな生き方、考え方があると考えさせられました。