ジャカルタで思ったこと

2014.04.08発行 Vol.220
 先週の木曜日の深夜便で日本を発ち、月曜日の朝に戻る2泊5日の日程でジャカルタを訪問しました。私が非常勤の役員をしているお客さまが現地資本と合弁で運営しているジャカルタの工場などを訪れるためです。ジャカルタを訪れたのは初めてで色々なものを見ることができました。

 このところは少し経済の停滞はあるものの、ジャカルタはすさまじい発展をしています。インドネシアは日本の約2倍の人口を抱え、一人あたりのGDPも3千数百ドル程度と日本の10分の1以下ですが、ジャカルタを見る限り、急速に近代化が進んでいる印象を受けます。

 訪問した会社は自動車部品メーカーですが、工業団地の敷地を確保することすらとても大変だったと聞きました。現在でも日本からの進出企業は相次いでおり、ジャカルタ近郊の工業団地の土地の価格はうなぎのぼりの状態です。最低賃金もここ数年で2倍に上昇しました。工場で働く人も、ローンですが、低価格の車を買えるようになったと現地法人の日本人社長はうれしそうに語っていました。

 ただ、私が今回の訪問で一番印象に残ったのは、経済発展ではなく、貧富の格差です。訪問二日目に合弁企業に出資している現地のパートナー企業の社長さんを交えてゴルフをしましたが、ゴルフ場の駐車場には、ポルシェやメルセデスなどの高級車がずらりと並んでいました。ゴルフ場の練習場では、親に連れられた子供たちもレッスンを受けていましたが、顔を見るとほとんどが華僑の子弟たちです。新しいショッピングセンターもどんどん建っていますが、そこでショッピングができるのは中流階級以上の人たちです。

 一方、ジャカルタにはスラム街こそないものの、一歩裏通りを行くと、貧相なバラックのような商店も多く立ち並んでいます。観光地の駐車場では、インドほどはひどくないもののお金をせがむ子供たちが寄ってきたこともありました。場合によっては、組織化されており、子供たちがもらったお金を組織がピンハネするとの話を聞きました。

 一番驚いたのは、チェーン店のヌードル屋さんで昼食をとったときのことです。高級店ではなく、中流階級の人が来るヌードル屋さんだったのですが、日曜日の昼間ということもあって、家族連れでとてもにぎわっていました。

 そこで見かけたのは、私たちのすぐ近くのテーブルで、白い服を着た少女が、自分より少し年齢の小さな子供の世話をしている光景でした。現地の人の説明では「ベビーシッター」だと言います。月に1万円くらいの給与で、朝6時から夜の8時くらいまで仕事をし、休みは月に2回程度とのことです。

 中流以上の家庭では、家政婦だけでなく、子供たちに住み込みのベビーシッターがいるのが普通のようです。私たちが見たベビーシッターがそうだったかどうかは定かではありませんが、家によっては、自分たちが食べていても、一緒の席にいるベビーシッターには十分な食べ物を与えない場合もあるとのことです。

  7月に大統領選挙があるインドネシアですが、今のところそれほど裕福でない家庭出身の候補者がトップランナーのようです。経済発展に取り残された人たち、とくに子供たちに幸せが訪れることを願ってやみません。