コミュニケーションとは『意味』と『意識』を伝えること・・・セブン-イレブンの今後に注目

2016.07.12発行 Vol.274
 英国のEU離脱が決まり、日本では参議院選挙も終わり、何かと政治情勢の話が多いですが、今回のメルマガでは最近、私が注目していることをお話ししたいと思います。先日の、会員さん向けの経営実践セミナーでもお話ししたことです。

 私が今注目しているのは、セブン-イレブンの今後の業績がどうなるかということです。セブン-イレブンはセブン&アイ・ホールディングス傘下のコンビニです。ホールディングス傘下には、セブン-イレブンの他に、イトーヨーカドー、そごう・西武の百貨店、デニーズ、セブン銀行などがありますが、ホールディングスの前期の業績を見ると、グループ全体で約3500億円の営業利益を上げています。そして、そのうちの約3000億円はセブン-イレブンが稼いでいます。まさにセブン-イレブンはセブン&アイの中核事業です。

 皆さんもご存じのように、今年初めに同グループでは後継者を巡り「内紛」が起こりました。コンビニ事業を一から育てた鈴木敏文会長が結果的に解任され、セブン-イレブン事業を切り盛りしていた井阪隆一氏が、ホールディングスの社長という結果となりました。

 私が懸念していることは、セブン-イレブン、ひいてはセブン&アイの今後の業績です。セブン-イレブンは、現状約1万9千店舗を有する日本最大のコンビニチェーンですが、1日1店舗当たりの売上げは、昨年度ついに70万円に達しました。他のコンビニチェーンが50万円台をなかなか脱することができないのに比べて抜群の成績です。

 各コンビニとも、戦略上はそれほど大きな違いを見いだせない中、セブン-イレブンだけがダントツと言っていいほど業績がいいのは「徹底」の差だと私は考えています。当社の身近な話題で恐縮ですが、昨年の夏にこんなことがありました。お盆の時期だったのですが、当社の近くのセブン-イレブンの店長が訪ねてきて、「お盆休みはいつですか」と当社のスタッフに聞いたそうです。そうやって近くのオフィスを回って、お盆時期のお弁当などの品ぞろえを考えていたのでしょう。そうした、小さな徹底を各店が行うことで業績が大いに違うのだと私は考えています。

 同社では、長い間、毎週1回スーパーバイザー会議を東京の本社で行っており、そこで鈴木会長が1000回以上お話をされたそうです。「○○の商品販売を強化する」などの「意味」だけを伝えるなら、メールなどが発達した昨今、わざわざ膨大な費用と時間をかけて毎週何百人も集める必要はないでしょうが、「意識」を伝えるには、やはり面と向かって話すことのほうが伝わりやすいと思います。私もそうした意味で、講演でお話しすることがとても好きです。

 最近では、ここでお話ししたスーパーバイザー会議が2週間に一度になったとのことですが、鈴木氏が退任した後、従来通りの「意識」の疎通、ひいては「徹底」ができ続けるのかに私は注目しています。

 企業は「はずみ車」みたいなところがあるので、当面の業績に大きな変動はないと思いますが、現状ダントツの1日1店舗当たりの売上げが新経営体制のもとで増えるのか減るのかに経営コンサルタントとしてとても興味のあるところです。


【小宮 一慶】