コペンハーゲンとプラハで思ったこと

2010.09.14発行 Vol.134
 今年も当社主催の海外視察ツアーを行いました。昨年は10月にブラジルに行 きましたが、今年はデンマークとチェコを訪問するということで、気候のことを 考えて普段よりひと月早い9月にツアーを実施しました。なぜ、デンマークを行 き先に選んだのかと言うと、世界で最も国民の幸福度が高い国のひとつで、また、 貧困率(所得の中央値の世帯の半分の年収の世帯の比率)が5%程度と、所得の 比較的低い層の割合が小さいからです。ちなみに日本の貧困率は16%弱ありま す。チェコを選んだ理由はそれほどなく、デンマークに行く「ついで」程度に行
ったのですが、これがついでではなくすごく良かったのです。このことはこの文 章の最後に書きます。

 まず、デンマークのコペンハーゲンに行って驚いたのは、自転車がすごく多い ことです。ガイドさんも、観光用に使ったバスを降りる際には、必ず「自転車に 気をつけてください」と言ったほどです。自転車道路が車道と歩道の間に整備さ れていて、コペンハーゲンでは通勤する人の30%程度は自転車で通っています。
  これには訳があります。自動車が高いのです。デンマークではなんと自動車を 買う時に本体価格の180%の税金が課せられます。ですから、本体価格の約3 倍の値段を払わないと自動車を買えないのです。商用車は税金がもう少し安いの ですが、通常の家庭で車を買うのはそれほど楽ではありません。

 デンマークは平地の国です。標高が一番高いところでも200メートルないく らいのフラットな国なので、自転車が便利と言えばそれまでですが、冬場は0度 以下に気温が下がりますし、大変です。自動車に高い税金をかけることにより、 ガソリン消費も含めて貿易収支を良くし、さらにエコにもなるということを考え ているのです。洋上の風力発電所(写真は「小宮コンサルタンツブログ」にあり ます)も船で見学に行きましたが、これもエコであるとともに、石油などの資源 の輸入を減らすという意図があるのです。

  税金などを国民が負担する比率も高く、GDPに対する割合(国民負担率)は 70%を超えています。累進課税の所得税の最低税率が40%、消費税も25% を超えていますから、国民にとってはかなりの高負担ですが、現地で会ったデン マークに長く暮らす日本人の方が、「とにかく安心なのです」というほど、福祉 や教育が充実しています。医療費は、薬代以外は高度医療も含めて無料、介護も 無料、教育費も大学まで無料(大学生には補助金まで出る)、社会人の趣味の習 いごとにも国が大部分を補助するなど、普通に暮らすには、大部分のことを国が 面倒を見てくれるのです。思想的には自由主義ですが、経済的には、ある意味社 会主義的な要素が多分にあります。高福祉を維持するために、高負担とともに貿 易収支の黒字を稼ぐことに懸命なのだと思いました。
  コペンハーゲンで一番の繁華街を歩きましたが、国民一人当たりのGDPはか なり高いにも関わらず、高級ブランド店がほとんどないのにも驚きました。物価 は高いのですが、H&Mなどの比較的リーズナブルな値段のお店が並んでいるの です。街ではタクシー以外ではベンツなどの高級車を見かけることもほとんどあ りませんでした。(タクシーは車を取得する際の税率が低い。)外食もほとんど しないとのことです。
  つまり、平等で安心なのですが、高級品を持つなどのぜいたくは難しいのです。 逆に言えば、物的なぜいたくをしないなど価値観が大きく違うという感じがしま した。
  その後、チェコのプラハに移動しました。1人当たりの所得はデンマークより 大幅に落ちるのですが、街にはベンツやBMWなどの高級車が走り、その割には 物価も安く、昼からビールを飲ませるパブも多く(チェコは1人当たりのビール 消費量世界一)、経済格差もかなりあるようでしたが、今回の研修に参加された 方の多くは、「デンマークよりチェコのほうが幸せなのではないかと思う」とお っしゃりました。何をもって幸せというかは価値観による部分も多く、なかなか 難しいところがあると思いました。