グアムでの定点観測

2012.02.28発行 Vol.169
 毎年2月中旬に、お客さまとグアムで経営戦略策定の研修を行っています。今年も4泊5日で研修を行いました。今年もいくつかのことを考えましたので、今回のメルマガではそのことを報告します。

 グアムでの研修も、6年連続になりました。最初の2007年にはリゾートホテルや高級コンドミニアムが立ち並ぶタモン湾で、一部のコンドミニアムに「For sale」の看板が出ていました。このころは米国の住宅バブルの最後の時期だったのですが、グアムではそろそろ不動産市況がピークアウトしかけていたのです。グアムは米国の準州で、一番辺境の地です。バブルは、中核都市から始まり、それが地方に波及していきますが、崩壊は経済の力が弱い辺境から始まることが多く、それがグアムで起こり始めていたのでした。バブル崩壊からの立ち直りは、もちろん、グアムのような辺境から起こるのではなく、最もエネルギーのある地域から起こるのが普通です。今年もタモン湾を歩くと、大分前から出たままの「For sale」の看板が出たままになっていました。

 しかし、その一方でリゾートホテルの建設も進んでいました。一番良い場所にあるハイアットホテルに隣接する形で建設が進んでおり、おそらくそのホテルが建物を増設しているのだと考えられます。

 これは、米国のバブル崩壊の影響がなくなったのではなく、おそらく、増加する中国人観光客に対応してのものだと考えられます。今年は、例年と違い、春節がひと月早かったことや中国の景気が少し落ち気味ということもあり、昨年までの春節と重なり中国人観光客があふれかえっているという状況ではありませんでしたが、それでも成長著しい、中国や韓国の観光客が目立ちます。

 一方、タモン湾に面するリゾートホテルは、以前は日系のホテルが3つありましたが、今では私たちが泊まったホテルだけになってしまいました。利用した成田からのJAL便も、以前は747(ジャンボジェット)などでしたが、今では250人ほどが乗れる767に機種がダウンサイジングされています。

 夕方、タモン湾を歩くと、空軍基地に戻る途中の米軍の戦闘機や爆撃機が轟音をあげて上空を飛ぶのを多数見かけます。毎日、訓練を繰り返しているのです。平和ボケした私たちには分かりませんが、最前線では毎日、中国、北朝鮮などと緊張状態が続いているのです。日本列島や沖縄、台湾を結ぶ「第一列島線」が中国と対峙する第一防衛線となりますが、グアム、オーストラリアなどを結ぶ「第二列島線」も、対中国では非常に重要な防衛ラインです。沖縄の海兵隊の一部をグアムに移転する計画が出ていますが、タモン湾で米軍機を見ていると、これらのことを考えないわけにはいきません。その下で、卒業旅行に来ていると思われる日本の大学生たちがはしゃいでいる姿を見ると、少し考えさせられます。

 今年も後継ゼミ生が一人、朝一緒に湾を歩いてくれました。彼にとっても良い思い出となったでしょう。

 次回のメルマガは最近怒ったことがあるので、そのことを書きます。