カルロス・ゴーン氏逮捕と日産の今後

2018.11.27発行 Vol.331
日産やルノーのトップを務めるカルロス・ゴーン氏が逮捕されるという衝撃が日本のみならず、フランスなどを駆け巡りました。世界的に有名な経営者ですからそのインパクトも大きかったのです。
この事件は大きく2つに分けて考えなければならないと思っています。ひとつは、カルロス・ゴーン氏自身の犯罪の問題。そして、もうひとつは、ルノーとの関係での日産の今後です。日産のルノー支配に対する反発が、ゴーン氏への「クーデター」を起こしたことは間違いありませんが、しかし、だからと言って、ルノーの日産への支配が緩むかというと私は決してそうはならないだろうと思っています。
まず、ゴーン氏の犯罪についてですが、これは、テレビや新聞でも大々的に報道されているので、皆さんもよくご存知だと思いますが、3つからなります。ひとつは、自身の給与を少なく有価証券報告書に記載していたということです。一義的には有価証券報告書の虚偽記載の責任は法人である日産やそれを実際に行った人ですが、ゴーン氏や側近が指示していたということのようです。
2つ目は、ゴーン氏の出身地のブラジルや国籍を持つレバノンなどに豪華マンションを買わせていたということです。ダミー会社をオランダに設立し、そこに60億円出資させていたというものです。3つ目は、家族旅行などに会社の経費を使っていたということです。
いずれにしても、これらに対しては、ゴーン氏側は今のところ罪状を否認しており、おそらく、非常に有能な弁護士を雇って法廷闘争を繰り広げることとなると思います。その中で事実関係が明らかになっていくでしょう。
問題は日産の行く末です。日産としては、内部告発をきっかけに、ゴーン氏側には全く内緒で、東京地検に捜査協力をし、ゴーン氏を羽田空港でいきなり逮捕という「クーデター」を起こしたわけです。この手の事件の場合、通常は、まず当事者に社内で話を聞くということをするでしょうが、いきなり地検に逮捕させるというのは、よほど腹に据えかねていたことがあるとともに、ゴーン氏をとても恐れていたとも言えるでしょう。
しかし、いずれにしても、このことにより、ルノーは日産への支配を緩めることはないでしょう。日産からの配当がルノーの利益の半分程度を占める中で、ルノーが虎の子の日産やその傘下にある三菱自動車を手放すとはとても考えられません。むしろ、ルノーとしては3社の扇のかなめのゴーン氏を失ったわけですから、他の手段、例えば現状43%強を保有するルノーによる日産株の買い増しなどに出る可能性があります。場合によっては、私が大阪のテレビ番組「ちちんぷいぷい」でお話したように、「ゴーン氏よりもっとすごい経営者が来る」ということにもなりかねません。日産側の現経営陣の法的責任や管理責任を問われる可能性もあり、今後の展開は予断を許さないところです。
              【小宮 一慶】