オリンピックと日ごろの準備

2018.02.27発行 Vol.313
ピョンチャンオリンピックが閉幕しましたが、今回の冬季オリンピックでは日本人選手の活躍が目立ちました。フィギアスケートの羽生、宇野選手、スピードスケートの高木姉妹や小平選手、ハーフパイプの平野選手、そしてカーリング女子チームも初のメダル獲得で多くの方を興奮させたと思います。

その中で、経営コンサルタントとして私がとくに注目したのは優勝した女子パシュートでした。決勝で戦ったオランダは、3人全員がメダリストという個の力では非常にレベルの高いチームでしたが、日本チームは筋力トレーニングなどによる個の力の強化とともに、チーム力の向上に努めたことが勝因だとテレビが伝えていました。そこには、実力アップとともに、工夫や作戦が徹底的に考えられたことも勝利の大きな要因です。

具体的には、①3人の隊列をとにかく乱さないことにより、後ろに着く選手の空気抵抗を極力少なくして体力消耗を防ぐことと、②先頭に立つ選手が後ろに下がるときには、従来なら列の横に出て、少しスピードを落として後続選手に抜かせて、そこから自分が再度スピードを上げて最後尾に着くところを、大きく横に出て最後尾に着くというやり方に変えたこと。そのほうが、最後尾に下がる選手がスピードを落とさないため、最後尾に着くときにスピードアップする必要がなく、体力の消耗が防げるとのことです。これらを科学的に分析して、あとは徹底的にその練習を行ったそうです。また、夏場もチームで列を組んで自転車で走行訓練することなどで、体力増強とチームワーク強化を図ったとのことでした。

これらのことはオリンピックに限らず、経営でもとても大切なことです。個の実力を高めるとともに、チームでの力が発揮できるような仕組みややり方を徹底的に研究し、それを実施・検証していくのです。

もうひとつ大切なことは、オリンピックに限らず、本番で力を発揮できる選手は、普段からの練習が違うのです。もちろん、運もあると思います。しかし、結局は普段からの練習や訓練により、実力を高めた人しか、レベルの高い場所では勝てないのです。普段4回転ジャンプをできない人が、オリンピックの場になってできるということはないでしょう。

同じように、ビジネスの場でも、レベルの高い次元で力を発揮するには、普段から高度な訓練をしておく必要があるのです。レベルの高いお客さまや仕事を想定して実力を高めておかないと、本当のプロの仕事はできないのです。「チャンスの対の言葉は準備」と私はよくお話しますが、普段からの準備、それも高いレベルの準備がなければ、本番で力は出ないのです。

さらには、「散歩のついでに富士山に登った人はいない」ではないですが、高い目標を持つことも大切です。高い目標を持たないと、それにふさわしい準備をしなくなるからです。高い目標を持ち、それにふさわしい準備をした人だけが、ビジネスの場でも最高の舞台で最高の仕事ができるのではないでしょうか。


【小宮 一慶】