イスタンブールで思ったこと

2011.10.11発行 Vol.160
 毎年お客さまと海外ツアーを行っていますが、今回はトルコのイスタンブールとクロアチアを訪問しています。私たちは今、イスタンブールにいて、これからクロアチアのザグレブに移動するところです。イスタンブールでは日本総領事館をお訪ねし、総領事からトルコの政治経済についての詳しい説明を受けました。今回のメルマガでは、トルコ情勢をお伝えするとともに、イスタンブールで私が思ったことをお話しします。

 トルコは、古来から栄えた国で、ヨーロッパとアジアの交差点にあたるところにあります。そして、とても親日的な国です。明治時代に和歌山沖で座礁したトルコ軍艦を救助したことや、トルコと何度も戦争をしていたロシアを日本が日露戦争で破ったことなどが原因で、子どもの名前に「Togo」と日露戦争でバルチック艦隊を撃破した東郷平八郎元帥の名前を付けた人も多くいたとのことです。昨夜は、ヨーロッパ側からアジアの対岸を見渡すボスポラス海峡に面したレストランで食事をしたのですが、そのレストランで行われていた「銀婚式」の大パーティ(こちらではそういうことをやるらしい)では、日本語で歌が歌われていて、こちらまでうれしくなりました。

 トルコの国情を少し説明しますと、地理的には先にも述べたように、ヨーロッパとアジアが交わるところにあります。イスラム圏で7400万人弱の人口のうち99%がイスラム教徒です。古くはキリスト教文化圏でしたが現在では完全なイスラム圏で、スンニ派の人が大半です。ただ、他のイスラム国のように戒律を厳しく守っているわけではなく、戒律的には結構「ゆるい」感じがしました。さらに、トルコにはアラブ人でもトルコ人でもない1200万人ほどのクルド人が住んでいるとのことです。

 トルコ経済は、世界同時不況のあった2009年こそマイナス成長(-4.7%)でしたが、2010年は8.9%の成長を記録しました。名目GDP的には2010年では7358億ドルで、これは世界で17位の数字です。ひとりあたりのGDPは約1万ドルです。本来なら急速なモータリゼーションが起こっているはずで、確かにイスタンブールの渋滞は結構大変ですが、車には64%の消費税がかかっているため、本来ならもっとすごい車の量があるはずなのを少し抑えているようです。これは、貿易赤字解消の意味が大きいでしょう。自動車生産が、トルコ国内でも外国企業との合弁や外資単独の工場などで行われていますが、部品を組み立てるノックダウンが中心で、自国内での付加価値が多くないことも原因していると考えられます。日本からはトヨタやホンダが進出しています。

 食料自給率は100%を超えています。人口の平均年齢は29歳で、昨年1年間で116万人増加、生産年齢人口(15から64歳)の伸びは年1.5%と推計されています。高齢化が進み、生産年齢人口が今後大幅に減少する日本からはうらやましい限りです。

 トルコ経済は順調だったわけではありません。2001年には経済危機となり、IMF主導で立て直しが行われました。その後、2002年からはイスラム教系の政権が安定し、経済成長の道が開けました。2008年末では政府債務残高が対GDP比で40%程度まで縮小しました。一方、現状の日本は約200%と非常に厳しい状況です。2023年には共和制100周年を迎えるのですが、その年に向けての「グランドビジョン」が掲げられており、GDPで世界10位入りを目指しています。ひるがえって日本ではこの先のビジョンがまったくと言って良いほど描けていません。いずれにしても、首相や政権が毎年変わっており、財政赤字のコントロールもままならない状況では、長期ビジョンどころではないでしょうが、確固としたビジョンを描けない企業に将来がないのと同じように、わが国もビジョンを描き、それを強力なリーダーシップのもとで実行していかなければならないことはいうまでもありません。時差ボケで早く目が覚め、日本のことがまた大変心配になりこの文章を書きました。