アメリカとモンゴル出張で経験したこと

2017.09.12発行 Vol.302
8月に少しタイトな出張をしました。どうしてもそこにしかスケジュールが入らなかったからですが、2泊4日でアメリカオハイオ州のコロンバス近くに出張。帰国した翌日から、2泊3日でモンゴルのウランバートルに出張したのです。時間的、体力的には結構きつかったのですが、どちらも、私には非常に貴重な経験を与えてくれました。

米国では、私が非常勤の役員をしている日本の自動車部品メーカーさんの現地法人を訪問したのですが、その会社では完全に自動化されたラインがいくつか稼働していました。5年前にその工場を訪問した時にはなかったものですが、5年前と同じ人数で2割以上の生産増をこなしていたのです。

オハイオはトランプ大統領を生み出す原動力となったいわゆる「プアホワイト」と呼ばれる白人労働者階級の多い地域ですが、完全自動化ラインなどの生産性の向上は、結局は雇用を奪いかねないものです。この会社のように、売上げ増で雇用を維持しながら、生産性を高めていくというのが一番良いことですが、日本のように、経済が停滞し、パイが増えない中での生産性向上は、結局は雇用削減になりかねないでしょう。「働き方改革」が叫ばれていますが、経済成長によるパイ拡大の大切さを感じました。

ちなみに、工場のオフィスでは、ホワイトカラーの人たちが机に向かって立って事務をこなしていました。健康のために数時間座った後は、数時間立って仕事をするのが米国では流行とのこと。こちらが日本で流行るのかは不明です。

一方、モンゴルではモンゴル企業に招かれて講演をしました。人口310万人ほどのモンゴルで、銀行やカシミア工場、トヨタのディーラー、ホテル、ゴディバやロクシタンの小売りなどで1万人を雇用する巨大企業グループです。その幹部約300名に講演をしたのです。

代表の方を含めて、そのうち20人ほどは、日本の大学や大学院を出ており、日本語がとても流暢です。日本では、白鵬などの相撲取りの印象が強いモンゴルですが、相撲以外にビジネスでも親日的な人が多いことをとてもうれしく思いました。

話して欲しいと言われたテーマは「お金を追うな、仕事を追え」でした。日経新聞に載った私の広告を代表の方が見て、秘書(この方も日本語が堪能)を通じてご依頼があったのです。講演を承諾すると、ほどなく、代表の方おひとりで、当社の二番町の事務所にやって来られて、講演についての打ち合わせをしました。自分がいつも考えていることを、違う人の口から話してほしいということでした。成功する人はどこでも同じように考えているのです。

「ウランバートル市内の会社で行ったのでは、幹部の意識が変わりにくい」ということで、講演は市内から50キロほど離れた郊外で行われました。講演の反応はとても良く、講演と会食が終わってゲル風のレストランを出たときに、夕暮れの草原の中で皆さんがモンゴルの歌をお礼に歌ってくれたのが、とても印象的でした。

【小宮 一慶】