お客さまの視点で考えるのが本当のサービス

2010.12.14発行 Vol.140
 このメルマガでも何度か良いサービスや悪いサービスについて書いてきましたが、今回もそのことについてお話したいと思います。最近次のようなことが二つ ありました。ひとつは、以前にもこのメルマガで取り上げたサービスの良くない私の家の近所の和食系のファミリーレストランのお話です。

 怖いもの見たさに通っているといったほうが良いくらいのこのファミレスなのですが、最近こんなことがありました。食事をしていたら、食べ物を持った結構年配のウエートレスさんが私たちのテーブルにやってきて、「ここは5番テーブルですか?」と尋ねました。もちろん、私たちは自分が何番のテーブルで食事しているかなど知らないので「分かりません」と答えたら、「すいません、新人なもんで」と謝って、他のテーブルでも同じことを聞いていました。

  このファミレスでは、注文を受ける際によくあるような小さな機械に入力しています。その際に、お客さまが注文した商品とテーブル番号を入力して、伝票を見ればどのテーブルに運べばよいかが分かるようになっているのでしょう。テーブルのどこかにテーブル番号が書いてあるのでしょうが、この新人のウエートレスさんは食事を運ぶ際に、それがどこにあるのか分からなかったのでしょう。働いている人が分からないくらいだから、来店客が分かるはずもありません。ここには3つの誤りがあります。ひとつは、働いている人がだれでも分かるように番号を書いておかなかったことです。これは仕組み上の工夫の問題です。

  しかし、残りの2つの誤りは致命的です。それは、まず、このウエートレスさんはお客さまに聞くよりも前に、同僚のだれかに聞くべきだということです。新人だったからかもしれませんが、内部に気を遣ってそのツケをお客さまに回しているのかもしれません。お客さま志向という教育が全くなされていないのです。本来なら、内部で処理するべき問題なのです。お客さまに迷惑をかけず、手間は内部で引き受けるという姿勢が大切なのですが、そのことが教育されていないのでしょう。

  そしてもう一つは、「新人」という言い訳です。新人が対応するなら値段をまけてくれるというならともかく、そうでないなら「新人なので」という言い訳は厳禁です。そんなことはお客さまには何一つかかわりあいのないことだからです。新人に「若葉マーク」や「見習い中」のマークを付けて接客させているところを
よく見かけますが、これもお客さま志向に反します。以前、あるファミレスチェーンの方と話していたら、「先輩が新人をフォローしやすくするために分かるようにしているのです」という「言い訳」を聞かされたことがありましたが、それならお客さまに分からないマークにするべきで、お客さまにわざわざ心配をかけたり、同情を得るようなことは避けなければならないのです。

  このファミレスに限ったことではありませんが、サービスが悪いからお客さまが離れ売上や利益が下がる、利益が下がるから良い人も雇えず、教育もできない、さらに売上が落ちるという悪循環に陥っているところは少なくありません。

  もう一つの事例を書こうと思いましたが、スペースがなくなりました。ここで挙げたような「良いサービス、悪いサービス」についての本を来年春に出版予定ですが、この状況では事例はどんどん増えていき、いつ出版できるか分からなくなりそうです。