『役職』と『役得』を混同しない

2017.06.27発行 Vol.297
社長や部長というのは、「役職」です。しかし、地位が上がれば上がるほど、「役得」の部分が大きくなっていくことも間違いありません。取引先さんからの接待だけでなく、取引先さんが主宰する海外旅行やゴルフツアーに招待されることもあります。逆にこちらが接待を行うこともあります。もちろん、これらが通常の範囲内で行われている限りは問題がないのですが、一部の人にはその役得の比重が大きくなり、本来の仕事よりも、そのことに重点が置かれてしまう人も残念ながらいるのです。過剰接待などで、そのことが不正にまで発展した事例を私はいくつか知っています。

しかし、最大の「役得」は高い給料をとって何もしないことです。
「役職」が上がれば上がるほど、当然、給与が高くなります。もちろんその職を全うしていれば、その給与を受け取って当然ですが、ただ単に、給与が上がっただけで、それに応じた仕事をしないことも「役得」です。これはとても大きな問題を、本人にも会社全体にも及ぼします。

働く人は、その「役職」に応じてその仕事をしなければならないのです。給与が上がっても、元の仕事程度しか仕事をしていなければ、本人は得だと感じているかもしれませんが、周りはそれを許していません。そうすると、本人は、その地位を守ろうとするかもしれません。その給与に見合った仕事をしていないので、その地位にしがみつこうとすることもあります。その際に、本人が気づくべきなのは、自分の地位を守る最大の方法は、その「役職」に見合った、十分な成果を出すこと以外にないということです。これはすべての人に言えることです。そのために実力をあげるか努力するしかないのです。自分が給与に見合った仕事をしているかどうかを知るには、転職して給与が上がるかどうかです。そうでなければ、「役得」に甘んじているのです。

これは社長でも同じです。社長ならそのことを言ってくれる人は誰もいませんが、その代わり、社長は結果がすべてです。結果が出ないのなら「ぶら下がり社長」です。

「役得」をゼロにすることは難しいと思いますし、だれも聖人君子にはなれません。しかし「役得」を受ける人がしっかりした気持ちを持っていなければ、ついつい、それに溺れてしまうことにもなりかねないのです。それは、結局その人をもダメにしてしまうのです。大切なことは「役得」を享受することではなく、「役職」をきちんと全うすることだということを、上に立つ人ほど認識していなければならないのです。

【小宮 一慶】