『半分、青い。』と時代の変遷

2018.07.10発行 Vol.322
今年4月から放映中のNHKの朝ドラ「半分、青い。」の経済検証をさせてもらっています。ドラマの時代背景やビジネスシーンが現実に即しているかなどを時折アドバイスしています。その関係で、先日渋谷のNHKを訪ね、スタジオなどを見学させてもらいました。数年前に、NHKの土曜ドラマ「限界集落株式会社」でも検証をさせてもらう機会があったので、その時もスタジオ見学をさせてもらいましたが、普段と違うことを経験させてもらうことはとても勉強になります。テレビには、レギュラー、準レギュラーで結構出させてもらっていますが、ドラマは全く違うもののように私には思えます。いずれにしても新鮮でした。

さて、「半分、青い。」の主人公が生きた時代は、ある意味、日本経済にとっては激変する時代でした。主人公の鈴愛(スズメ)が生まれたのは1971年。高度経済成長期の終わり頃でした、私は当時、中学2年生でしたが、前年に大阪で万国博覧会、翌年冬には札幌で冬季オリンピックと、まさに上り調子の日本経済を象徴する国家的イベントが連続して行われた時代でした。前の東京オリンピックが1964年でしたが、そのしばらく前から10%程度の経済成長が続く、まさに高度経済成長の時代だったのです。公害も大きな問題でした。

1973年の石油ショックを機に、日本経済は成熟期へと入り、成長速度が鈍化します。今まさに中国がたどっている道です。そして、しばらくは中程度の成長が続くのですが、80年代後半には、バブルを迎えます。
1985年9月のプラザ合意により、それまでの円安が是正され、1ドル=240円程度だったのが一気に150円程度にまで円が上昇しました。私は当時アメリカに留学中だったので、その状況に驚いた記憶があります。
そして、円高不況を乗り切る目的で金融が大幅に緩和され、現在ほどではありませんが、市中にじゃぶじゃぶに資金が供給され、その余ったお金が土地や株式の価格を大幅に上昇させたのです。東京の住宅地でも数年で地価が4倍などという話をざらに聞いた時期です。朝ドラの主人公の鈴愛はその時期に高校生活を過ごしました。

そして、バブルの崩壊。地価や株価は一気に下落、その後、不良債権を大量に抱えた銀行が大手行を含めていくつも破綻。1997年と2003年の未曽有の金融危機を迎えるわけです。その後、日本経済は、欧米景気の拡大に支えられた中国経済の高成長の恩恵を受け何とか立ち直るのですが、低成長が続き、90年代前半からの「失われた10年」が「失われた20年」となり、ついにその言葉さえ聞かないほど、低成長、低物価上昇に慣れてしまったと言えます。

鈴愛も漫画家になる夢をあきらめますが、100円ショップで働くなど新たな道を模索し始めます。もちろん、現状の日本経済も、超高齢社会の入り口に立ちかつ膨大な財政赤字を抱える中、新たな道を切り開き、低成長をどう打破するかを模索しなければなりません。鈴愛がこの先、どのように自分の人生を切り開くかはお話できませんが、この先のドラマをお楽しみくださいね。

【小宮 一慶】